生み出されたモノ

言葉がない

そんな前提条件のもとに、もう一度立ち戻ってwhowhatとは何ぞや？という話なのですが。デザイナーの中川純子さん、松本浩典さんから出てきたのは「誰が何を」という字義通りのキーワードのみで。このキーワードだと「規定」というより「発散」の方向に向かっていて。訳が分からないんですよね。

なので、とっかかりをつかもうと、このシーズンのテーマは？とか聞いていくのですが、それも出てこない。語弊を恐れずに言うと、多分何もないんです。もちろんそこにモノはあるのですが、理論武装的な言葉が一切ない。
短期的に消費されるはずのファッション業界であるはずなのに。
ものすごく自分の作品の力を信じているゆえに、そしてその全てが直感的に生み出されているゆえに、デザイナー側で作品を説明する言葉を持っていない。

これって僕の前提条件からいうと結構大変なことで。
例えば展示会に訪れるバイヤーと語る言葉を持たないということだし、同時に受けるかもしれないメディアのインタビューに対する言葉も持たないということでもあって。今年の流行色は、とかそういう薄っぺらい言葉でもあったら、場を持たせたり、なんか逃げ道には使えたりするものじゃないですか。そういうのを一切持ってないんですよ。恐ろしいことに。イメージは裸で嵐ですよ。立ち上げ1年目だったら分かるけどファッションブランドとしてwhowhatを動かし始めて5年強ですよ。流石に知恵をつけたりするものじゃないですか。

whowhatとは

それでも分かりやすいモノを作ってくれていたら、まだ分かる気もするのですが。そこで作られているのが鯉のぼりの生地を使った「KIYOSHIRO IMAWANO」という名前のスーツや“CHONMAGE”HAND KNITというその名の通りちょんまげがついているニットキャップとか。面白いけど、分かりづらい商品群でして。まあ確かにこの商品群で理論武装されても困るのですが、これ密買的にピックした商品で、他に（あえて言うと）普通の服っぽいものも作られているんですよね。そしてそれが同じシーズンの作品群として紹介されたりしている。統一感というか輪郭さえつかませてくれない。

その延長線上なのかもしれないけど、通常のファッションブランドが取る営業的な行動をほとんど行っていなくて。展示会は一応行っているのですが、営業的な風景は一切なく昔なじみの友達に会う雰囲気で。そんな感じの人だから自分の服を好きだと思う人が買ってくれればそれでいいんです、的なスタンスなのかなと思いきや、聞いてみるとショップががっちり注文入れてくれるとすごくうれしい、みたいな回答が返ってきたりして。なんだか本当によくわからなくて。とにかく自分の生み出したものに忠実であることだけは確かなのですが、、

強引に理由を見つけようとすれば、whowhatはファッション出自の人ではないとか、舞台芸術やアクセサリーをやっていた人であるとか。もしかしたら引っ張り出すこともできるのかもしれないのですが、次第にそういうことが意味のないことに見えてきて。

密買の、というか僕のスタンス的にそれが生み出された背景みたいなものに迫りたいと思うし、そういうことを紹介するメディアが少ないと思っているから、こんなことをやっていたりするんだけど。そういうのが意味を持たないモンスターに会ってしまったら、もうしょうがないな、という感じで。
結果的に何も説明をしていないコラムです。

でも、間違いないことは。
面白いし、かわいいし、かっこいいんです。
本当は上記の一行だけで終わらせるべきかもしれないのですが、一応言い訳でした。

whowhatに関して詳しくは下記をご覧ください。
> whowhat