Englishカートを見る

軽やかなバランス感

商品番号tk024002
商品名

manual industrial product 01
manual industrial product 04
manual industrial product 06

価格

manual industrial product 01 :¥62,640
manual industrial product 04 :¥46,440
manual industrial product 06 :¥62,640
※全て税込価格

限定数

サイズ

manual industrial product 01:
 【1】23~23.5cm、【2】24~24.5cm
 【4】26~26.5cm、【5】27~27.5cm
 【6】28~28.5cm
manual industrial product 04:
 【1】23~23.5cm、【2】24~24.5cm
 【3】25~25.5cm、【4】26~26.5cm
 【5】27~27.5cm、【6】28~28.5cm
manual industrial product 06:
 【1】23~23.5cm、【2】24~24.5cm
 【4】26~26.5cm、【5】27~27.5cm
 【6】28~28.5cm
※01、06の【3】は生産がございません。

素材

アッパー:cow leather、ライニング:pig leather、靴底:leather sole

支払方法

銀行振込・クレジットカード決済(PayPal)

送料

一覧表をみる >

納期

2週間程度

備考

この商品は返品不可とさせていただきます。
写真の色は実物と異なる場合があります。

バイヤーmikayama

裏の誰か

僕がこの靴を知ったのは多分3~4年前。ある雑誌のグッズ紹介コーナーの小さな記事だったかと。あるスニーカーをなめし革で作ったと書いてあって。なんとなくメーカーが○周年記念的に作ったとかそういうもののような気がして、面白いことやるなぁ、ぐらいの感覚で読み飛ばしていたのですが。

今年春頃にたまたま訪れたお店で、この靴のブランド「エンダースキーマ(HenderScheme)」が展示をしていて。そしたらこのオマージュシリーズがいつの間にか7作品にもなっていて。そうなって初めて、これはプロジェクトだったのか。というか、裏に誰かがいることが分かり面白いぞ、と興味を持ったんです。

manual industrial product 01 :¥60,480(税込)

これ全てのパーツが革でできています

なので、こんな感じで色が変化していきます

manual industrial product 04 :¥44,280(税込)


dot_line.gif

人工皮革と天然革

今回ご紹介するのは「オマージュ(HOMMAGE)」シリーズ7作品の中から3種。実際になめし革で革靴の製法をもって作られています。革靴の製法とは何か?という話ですが、グッドイヤーウエルト製法とか、そういうことではありません。底の作り方含めてモデルに似せることに意味があるので。ただ革靴の職人が集まって、技術の粋を尽くしてモデルのスニーカーと同じ形の革靴を作ったという意味です。

じゃあ、スニーカーとどう違うのさ?
というと、ざっくり言うと人工皮革ではなく天然革を使っていることと、靴底が交換可能になっている点で違います。これ書いてしまうとさらっとしているのですが、作る上では大きく異なってきます。

まずは人工皮革と天然革の違い。まずは人工皮革。薄くて伸びづらい。なので、個体差が出づらくスニーカーのように色味の違ういろいろな人工皮革を張り合わせたり、同じ形に毎回張り合わせることができる。かたや天然革の方が厚さがあって、伸びます。なので、スニーカー的なデザインを再現するために何枚もの革が重なる部分をそのままに張り合わせてしまうと余計なアタリ(モノに使用上残ってしまう跡みたいなもの)が出てしまうので、その部分だけ薄く削って張り合わせなければいけなかったり。またアッパー(革靴の上部)と底をくっつける釣り込み作業を行う時に端的に出るのですが、天然革は伸びるので切り替えの多いスニーカーと同じものを作ろうとすると、革の個体差もあって同じ力加減でやっても左右が対称にならないんです。なので、通常の革靴のアッパーはそんなに革の切り替えを行わず、できる限り1枚の革で作ろうとします。その方が歪みが分かりづらいから。でもスニーカーは色を変えるために切り替えを多く使う。革靴と比較するとパーツ数がやたら多いんです。その切り替え部分を左右対称にするためには見えない努力がありまして、、、
うーん。分かりづらいですね。。
要は、スニーカーのように左右対称の靴を作ろうとするには熟練の職人の手作業が必要になるということです。


シンプルな形

色は段々と変わっていきます

履きこむとこんな感じに

manual industrial product 06 :¥60,480(税込)


dot_line.gif

エンダースキーマの仕事

さて。こんな繊細複雑な作業をエンダースキーマはどうしているかというと、職人さんに分離発注しています。聞いてビビったのですがこの革靴を作るのに具体的に作業しているだけでも「木型屋」「型紙屋」「グレーディング屋」「裁断屋」「ミシン屋(製甲屋)」「底付屋」「フィニッシャー(これは機械の名前で、フィニッシャーに付いているコバカッターで底のコバを削る職人)」の7つの職人が絡んでいて、さらにこの特殊な底を作るのに中底屋、本底屋。革に関しても革屋に裏革屋、刻印屋。さらにソールの部分をオパンケ製法で仕上げるときにはオパンケ屋(オパンケ縫いができるミシンを持っている業者)が必要です。とにかく関わっている職人が多いんです。では、通常靴の別注とかデザインを行いたい場合はどうしているか?だいたいは底付屋さんがメーカーを兼ねていることが多いのでここにデザインを持ち込むんですね。そうするとそのメーカーの下請けを行っている各業者が動いてデザインと同じ靴を仕上げていく。
まあ、ここまでいくと勘のいい方なら分かると思いますが、メーカーへの別注やOEM的なデザインを依頼しようとしても単純作業しか受けてくれないんです。通常作っている靴の色違いだったり。でも、各職人はそれぞれ研鑽してきた技術を当然持っていて、それに出会うには直接会って話すしかないんですね。こんなことできる?って。
初めエンダースキーマの柏崎さんに、どうやってそんな厄介な仕事を分離発注できたの?って聞いたら、まずは自分で木型とか型紙作ってみて、それを職人さんに持っていって自分でもできたから、おっちゃんもできるでしょ、的な発注の仕方でいけたんです。みたいなことをさらっと言っていたのですが。。
よくよく聞いていくといろいろ大変で、、、

エンダースキーマの事務所は浅草、つまりは日本の靴の一大生産地の一角にあるのですが、職人さんに日参するのが仕事みたいになっていて。ちょくちょくお土産持って訪れては最近どう?的な話とか、転がっている道具を発見してはこれでどんなことできるの?と聞き出してみたり。これだけ多くの職人使って分離発注行うと、当然に部品が足りないとか、上がってきたのが打ち合わせと違うとか、いろいろなことが起きるのですが、その連絡があったら飛んで行って解決したりとか。多分、想像するアパレル靴ブランドの作業とは違う、すごく土臭い作業を行っているんです。
なんとなく恐ろしさが伝わっているといいのですが、、

でも、エンダースキーマの代表柏崎さんはスッとした兄ちゃんで。力んでいるところがなく、うんちく嫌いで。割とサラッとした回答しかいつもしてくれないので、ここまで聞き出すのに本当に苦労したのですが、、、
つまりはエンダースキーマの靴作り自体、通常のファッション的なデザインでのアプローチのそれとも違うし、クラフト的な一から自分でというようなアプローチとも違い。すごくカテゴライズしづらい靴ブランドになっています。ちなみに柏崎さんはエンダースキーマのことを説明するときに渋谷とか西側では靴屋さんと説明し、浅草とか東側ではブランドとして説明していて。この辺のバランス感がすごく軽やかなんですよね。
僕にはエンダースキーマは革靴という歴史ある本流に対して落書きしているようなもんなんです。とか説明するし。姿同様力みがない。

でも、やっていることはちょっと、というかかなりおかしい。普通はこんな労力がかかって変なことできるはずがないんです。もちろんそれぞれ苦しみがあるのは分かるけど、デザイナーの労力とは違う何かがそこにあって。そして、このオマージュシリーズはできています。


この靴だけベロクロです。革紐の方は強く引っ張るとちぎれてしまうこともありフィット感はこの靴が一番です。

丸っこいシルエット

この部分だけ革を折り返してステッチ入れてあります。オリジナルがそうだから。

全ての靴底にEVAという素材を挟んであるので通常の革靴より柔らかく履きやすいです


dot_line.gif

だって面白いから

多分、ファッションデザインの文脈ではこういう類のことは説明される機会が少ないだろうし、エンダースキーマにとっても余計な重しになるのかもしれないけど、まあ密買で書く分には良いかと勝手な想像のもとにスクープしているわけですが。
結果的にできている左の作品群が、明らかに上記で説明してきたような、ともすれば力んでしまう部分が昇華されていて、普通に履きやすくてかっこいい靴として仕上がっています。そのギャップが妙に面白いんです。

さてさて。そんな3種の靴ですが、最後に注意点。
まずは手入れについて。なめし革を使っているので雨に弱いです。油断すると雨染みができてしまうので。あとは、普通に無色のクリームとか、スプレーを使って油を補給しながら使ってあげてください。うまく育つと特有のいい感じの茶色になります。あと、底の交換に関しては、普通の靴屋さんでも受けれるはずですが、エンダースキーマに持ち込んでもらっても大丈夫です。交換のタイミングは底のゴム部分が無くなってきたとき。そこで交換であればすごく作業的に楽で、結果的に靴のダメージも最小限で収まるのですが、革の底部分まで削れたところで持ち込まれるとどうしても底全部の交換になってしまって、作業が重く、靴へのダメージも大きくなってしまいます。

あと通販にはネックのサイズについて。まずエンダースキーマの靴は下記のようなサイズ展開になっています。
【1】23~23.5cm
【2】24~24.5cm
【3】25~25.5cm
【4】26~26.5cm
【5】27~27.5cm
【6】28~28.5cm

僕の普段はいている靴は革靴で26cm、スニーカーで27cmなのですが、エンダースキーマの靴は原則革靴と同じサイズ感で合わせてもらって大丈夫です。つまり、僕の場合は上記の【4】。底部分やアッパーが全て伸びやすくできているので、逆に大きいサイズを選んでしまうとぶかぶかになってしまうんです。で、VANS ERAモデルだけはちょっと特殊でさらにワンサイズ小さめで大丈夫です。中を大きめに作っているので。僕の場合は【3】でジャストでした。
ボリューム感自体は大きく見えるように作っているので、履いてみたときにいつものスニーカーの感覚よりバランスが取りづらい、とかそういうことは無いように思いますが、この辺は普段履くパンツの太さとかにもよってくるので自己判断で。
問い合わせにはできる限りで答えられるようにします。

でも。
当然いい値段なので基本はどこかで履いてから買うことをオススメします。こんなことをオススメしてしまうと当然通販で買ってくれる人は減ってしまうので、なんで紹介してるんだ!?って話になるのですが。。
しょうがないんです。面白いものに出会ってしまったから。本当に理由はそれだけです。

エンダースキーマについて詳しくは下記をご覧ください。
> HenderScheme


この靴の底側面部分は牛皮の裏側で表現しています

ここでサンプルを作成して職人さんに持っていきます

浅草の片隅に佇むエンダースキーマ

作っているものは昇華されて普通にかっこいい