泰平さんのアートワーク
商品番号 | tk000202 |
商品名 | IT II |
価格 | ¥367,500(税込) |
サイズ | W750mm×D45mm×H1500mm |
素材 | 木材、キャンバス、スチレンボード、紙、接着剤 |
支払方法 | 振込(先払い) |
送料 | 一覧表をみる > |
納期 | 1週間程度 |
備考 | 4個限定(4個同時購入の場合、10万円ディスカウントいたします) この商品は返品不可とさせていただきます。 写真の色は実物と異なる場合があります。 |
バイヤー | mikayama |
本は好きですか?
小さい頃は本を読んでいたんですよ。本当に。
今は、ね・・・。
でも、本は好きです。
完全に二次元の情報から三次元とも四次元ともつかないすごく立体的な風景が思い浮かぶ瞬間がたまらない。時間を忘れて没頭できます。
そして、その本の象徴は題名。
僕が文章を場当たり的に書くからかもしれませんが、題名を書くのは文章を書いた後です。その文章をもう一度読み直し、一番象徴しているワードを題名に選ぶんです。
でね、この作品を見たとき、その前からずっと作者の施井泰平さんは本をすごく読む人なんだろうな、と思っていたんですよ。いろいろな雑学が詰まっている人だし。
だけど、実はあんまり本を読まないらしいんです。というより、読めない。
一つのワードが気になりすぎて。
読み返しすぎて。
話が全然進んでいかないらしいんです。
そんな性格が高じて(?)こんなサイトまで運営してしまっています。
天下泰平プロジェクト
僕はなんとなくその気持ち分かるんです。
多分、本屋に行くとうきうきする感じと近いと思うんですよ。
あの題名だけの本棚という世界で、想像力をかきたてられるあの。

写真:川本史織 courtesy,the artist and yukari-art

写真:川本史織 courtesy,the artist and yukari-art

写真:川本史織 courtesy,the artist and yukari-art

写真:Y.A.
2000冊の文庫本を想像してみてください
で、この作品。
例えば2m×2mの作品を作る場合、約2000冊の本が必要らしい。
(本屋にはいったいどれだけの本があるんだという話ですが。)
その2000冊という本を、本を読まない泰平さんがどうやって集めたか?
すごく苦労したそうです。
まず、ブックオフに行きました。
2000冊×100円で20万円。
そんなお金はありません。
じゃあ、といってゴミを探してみました。
雑誌はあっても文庫はありません。あまり捨てられないらしいんです。
海外も探してみました。
ないです。珍しい文化らしいんです。文庫本って。
最後に頼ったのは友達でした。
欲しいのはカバーだけですよ。
本自体は別に必要ない。
本を読まない、買わない泰平さんにとってそれは不必要なものを回収してあげるぐらいの気持ちだったのに・・・
誰もくれなかったのです。
表紙が無くなると本じゃないと。
実は本屋さんでも同じことが言えるらしいです。
(こんな話、していいのか分かりませんが。)
本屋って立ち読みフリーの世界ですよね。で、当然本自体も汚くなるわけですが、もう一度カバーを付け直して新品として売るらしいんです。
ある人が所有して、読む(コンテンツを消費する)と問答無用に中古になるのに、店頭で何人もの人に読まれて汚れてもカバーだけ取り替えると新品として甦る。
本ってなんなのか?
何が消費されて、何が価値なのか?
全く分かりません。
でも、この事実。
泰平さんにとっては、おあつらえ向き。
本の価値は一体どこにあるのか。見てくれる人に問うような作品を作ったら面白いのではないかと。
一生懸命集めましたよ。2000冊。
結局、神田古本街の方に協力してもらって。
で、その本を表紙だけ切り取り、のりパネに貼り付けて(全部で2000冊!合計240時間!)さらにパネルにそのパーツを貼り付けていき、この作品はできました。




びっくり、びっくり
出来上がった作品を見てみると、いろいろな驚きが。
まず、重さ。
作り方聞いてみたら、当然なのですがすごく軽いんです。でも、本って重いじゃないですか。その固定観念があるから、異常にびっくりするんです。
あっ、軽い。って。
色とりどりの本の表紙もうきうきさせられます。
実は、泰平さんはどの本を選んでいるか、あんまり見ないでほしい、匿名性を保ちたい、と言っているのですが・・・、やはり見てしまいますよね。
人の家に行って、本棚を見てその人をリアルに把握する。そんな経験、みなさんあると思うのですが、これだけの本を見せられるといろいろ想像してしまいます。泰平さんの人となりを。ここにこの本とこの本を並べて配置するかぁ、なんて一人考えながら見るのも結構楽しいです。
※実は、本の並べる順番に関しては作為性が入らないようになるべく人にやってもらっていたようです。でも、その人それぞれで、また考えることがいろいろあるようで・・・。結果、やはり見ててすごく面白い。この場所とこの場所は絶対並べている人間は違うな。という感じで。
あと、極めつけはやはりこのジャンクな感じでしょうか。
ややもすると安い感じになってしまうんですよ。多分。
材料が中古の文庫本のカバーだし、ガチンコ手作りだし。でも、最終的に出来上がった作品のえもしれない、ジャンクを極めたような姿。なんとなくアジアの繁華街のネオンのような高級ではないけど決してチープではない、秩序が無いようであるような・・・。分かるかな?そんな作品です。



モノではないのかもしれない
でね、この泰平さん。
すごくラーメン好き。
って、この時代にラーメン好きっていうと、並んででもおいしいといわれるラーメンを食べたい、ラーメンオタクを指すことが多いですが(かくいう、僕もその一員ですが)この人は単なるラーメン好き。
1日3食。同じラーメンを食べても飽きないという強者(実践経験何回かあり)。
ちなみに好きなラーメン屋は「一蘭」。
おいしいのはもちろんですが、24時間空いているし、何回行っても顔を覚えられないから。
なんとなく、この作品を作っている姿を思い浮かべてしまったのは僕だけですか?
最近もインターネットを使って何かを仕掛けている模様。これからの作品もなんだかアツい、だけど質量がない作品を作っていくんでしょうね。楽しみにしています。
あっ、そうだ。この作品。
意外にインテリアとしてよいと思うんですよね。壁一面の本棚。場所とらないですし。ね。
この作品の作者の施井泰平さんについて詳しくはこちらをご覧ください。
YUKARI ART CONTEMPORARY > 施井泰平
また、施井泰平さんが所属されているギャラリーも面白い!
YUKARI ART CONTEMPORARY


写真:Kato Yuki

写真:山崎博司