鉄のプラモデル

商品番号tk000100
商品名FLAT PACKING CHAIR
価格¥59,850(税込)
サイズ
  • W1829mm×D919mm×T2.3mm(組立前)
  • W350mm×D350mm×H420mm
    座面φ342mm(トライアングル・組立時)
  • W420mm×D420mm×H420mm
    座面φ350mm(サークル・組立時)
素材スチール
支払方法振込(先払い)
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納期約2週間程度
備考この商品は返品不可とさせていただきます。
写真の色は実物と異なる場合があります。
バイヤーヤナギサワ

鉄のプラモデル

簡単にいってしまえば、これでおしまい。これがすべて。
タタミ1帖分の鉄の板から、形の異なる2つのスツールが生まれ出る。
切り取り、折り曲げ、組み立て、完成。

でも、そんな説明じゃ片付けられないほど、この商品は楽しすぎる!

そもそもいちばんに惹かれていたのは、図面を落とし込んで整然とくり抜かれただけの鉄板の造形美と、実際に組み立てられる、いわば大きなプラモデルという企画性。
この時点である種の人々はグっときてしまうだろう。

ただ、それどころじゃなく魅力的なことがわかってしまったのは、実物を手に試行錯誤し、組み立てまでの工程をたどったあかつきのこと。
これはまずい。完全に心を奪われてしまった。

飾ってよし!組み立ててよし!そそる大きさ。そそるカタチ。
シンプルな工程を経て2つのスツールが完成。
切りながら曲げながら、手にしてはじめてその特性に気付く。
こうして見れば、卓上のプラモデルのようなのに。

おとなたのしい

ダンボールにくるまれた鉄板が届き、開封のときを迎える。
実物の鉄板を目の当たりにした瞬間が、いちばん印象的な場面だったと思う。
そのときからとてつもないワクワクはスタートする。
鉄という素材そのものの緊張感。鈍く光るしなやかな材質。
まずそのたたずまいにやられてしまうのは言わずと知れたこと。
ここから料理するのは、自分。

組立家具の自作キットは数あれど、鉄板1枚送りつけられて、まずは部品を切り取るところから始められる。これこそプラモスタイルの醍醐味!
部品になって送られてきてしまうのとは、だいぶ意味がちがう。

特別に複雑な工程があるわけでもないのに、図面として見れば、難なくいけそうだなって想像できるのに、ほどよく試行錯誤させてくれるあたりがちょっとうれしい。
多分これ、鉄という素材と自分とのこれまでの距離。
剥き出しの鉄とここまで対峙することってそうはない。
すぐには思い通りになんて動いてくれないわけだ。

だからあえて伝えておきます。
どちらかといえば気に入っている形のスツールを、あとに組み立てることを。
2台目は少し要領を得た自分を試してみるために。完成度がやや高まることを期待して。

「まずはつくってみよう!」と始めたわたしたちのこの作業は、結果として、ビルの屋上で大人5人のアウトドアイベントに早変わりしてしまった。
慣れと勘が重要なことに気づいたら、とてもじゃないけれど2台では飽き足らず、完成を目前に、あともう数台チャレンジしたい気持ちに押さえがきかない。
スツールを置く場所に困らなければ、何台でも組み立て続けたくなる。

この作業の果てに残された鉄の「残骸」がどうなったか?
処理するため、くるくるとコンパクトに折り曲げ続けてみたところ、鉄の重量感、かたまり感がかっこよすぎて、オブジェのごとく、捨てるに捨てられず。
残骸も扱いひとつで、予想しえない何かが生まれ出る可能性を秘めていたのだ。

作業にあたっては、いろいろなシチュエーションを自由に想像してみてほしい。
たとえば友達を巻き込んでみたり、お日様のもと風に吹かれて作業したり、休日のイベントにしてみたり、知恵と体力を使って、悩んで相談して。
いやもちろん、ひとりでも、室内でも、こっそりでも、絶対に楽しいと思うのだけれど。
完成したときの満足感と、程よい疲労感、鉄くさい手と、じんわりにじむ汗が気持ちよく、せっかくだからこの気分は誰かと共有しておきたいところ。

完成したスツールはもちろんちゃんと使えて、色を塗ることなどでカスタマイズも可能。
つくったあとにも様々なストーリーは続いていくはず。
センシティブに扱うより、鉄の無骨さを堪能し、傷など構わず、ダイナミックに扱うほうがより適しているかもしれない。

さて、組み立てを前提に語り続けてきたところで、重要なお知らせが。
普通のプラモと違うところ。あるいは普通の組立家具と違うところ。
スツールを必要としなくても、組み立てることに興味がなくても、届いたそのままの姿で、実は十分に魅力的なモノだというところ。

鉄板の状態で飾ること自体がものすごくかっこいい!
むしろ、飾ることのほうを積極的に考える人がいてもおかしくないほどだ。
鉄板の外枠、上部2箇所にはひっかけ穴も開いているので、壁にネジ打ちして吊るしてみたり、窓面の適度な目隠しとして設けてみたり。

最終的なお楽しみは、決して消えてなくなるわけではないから、衝動を抑えられるのであれば、「いざ組み立て」のその日までめいっぱい眺め、イメージを膨らませて、作戦を練って、とりかかってみるのもいいかもしれない。
大人が楽しめるこんな遊びを、わたしたちは待っていたんだ、きっと。

詳しい作り方はこちら(PDF) >

梱包を解いた瞬間が見もの。まずは切り取りからスタート。
勘を頼りに折り曲げていく。大人5人がすっかり作業に夢中。
ニッパー・ドライバー・金やすり。用意するものはこれだけ。
鉄の残骸は思いがけずアート。思い立ったら着色もあり。

まだまだ終わらない

こんなにもワクワクドキドキなモノをつくっている人。
建築家の芦沢啓治さん。
さばけた考えの持ち主であり、何よりもチャーミングな人。
いつだってカラカラとした笑い声とともに
ササっと絵を描きアイデアに結び付けてしまう。
こちらもいつのまにかいっしょに着地点まで突き進んでいけちゃうわけです。

わたしたちの組立作業にあたっては、芦沢さんがリーダーとなって、誰よりも軽快に動きまわってくれました。すばらしきフットワーク。

このFLAT PACKINGシリーズ、今後も芦沢さんとともに、タタミ1帖サイズ(いわゆるサブロクサイズ)で、新たな商品を紹介していく予定です。乞うご期待!

芦沢さんの活動はこちらから
Keiji Ashizawa Design Office

作者自ら組立て、そして笑顔で確認。