Englishカートを見る

猿崎くん

商品番号tk003800
商品名

Monsieur Saruzaki

価格

¥72,000(税込)

限定数

1 (SOLD OUT)

サイズ

おおよそΦ210mm×H260mm

素材

ヴィンテージ玩具、電子回路ほか

支払方法

銀行振込・クレジットカード決済(PayPal)

送料

一覧表をみる >

納期

約2週間

備考

この商品は返品不可とさせていただきます
写真の色は実物と異なる場合があります

バイヤーヤナギサワ

愉快!痛快!これぞ画期的!

かなりショッキングな事件でした。
なんたって呼び鈴だったのですから。

猿崎さんに課せられた任務。
二言はありません。呼び鈴なのです!

当時としてはきっとなんてことない当たり前のデザイン。
いまよくよく見てみると、決して純粋にかわいいとは言いにくい
意外とグロテスクな表情、リアルなおサルさんに近い表現。
なつかしさと同時におかしさがこみ上げる、そんな玩具。

もしかしたら希少価値さえあるのかもしれません。
本体は当時のミルク缶を再利用しているのか
衣装を少しめくり上げてみると「雪印」というロゴが見えます。
一体一体手づくりの工場の様子さえ伺えてしまう。

はてさて、乾電池で問題なく動きそうなおサルさんに
おしりから何やらコードが伸びているのはなぜ?
と、たぐり寄せると‥。

恐るべき機能が追加されていたーっ!
衝撃を超えて愉快!痛快!画期的!

壊れたおもちゃが修理され、かつての動きを取り戻しよみがえる。
それだけだって感慨深いストーリーなのに。
そんなこと気にも留められないくらいに、先に先に飛び越えて
裏切りに近いアイデアに、ガガーンと打ちのめされました。


どうでしょう?

熱すぎやしませんか?

来客が待ち遠しくなりませんか?

いいの?こんなファンキーな呼び鈴が存在して?


仕掛けに気づいたときの歓喜、思いもよらぬアイデアへの感服、
すごいモノ見つけちゃったの驚愕に、いまだ興奮冷めやらず。

これぞ、想定外の呼び鈴革命です!
すいません!!!!!ばっかりで。

tk003800_d10.jpg

tk003800_d11.jpg

前から見ると元気いっぱいですが、背中に哀愁が漂います。

tk003800_d12.jpg

まっとうな表札の先に猿崎氏が踊っているとは。まさかね。

tk003800_d13.jpg

こんないじわるな顔もするの?キーッ!

tk003800_d14.jpg

猿崎くんセットの全容。ボタンから表札まで一式ついてきます。


dot_line.gif

呼び鈴のその先にある出来事

しかし。呼び鈴にこれほど思いを馳せることになるとは!
人生予期せぬことがまだまだたくさん起こるものです。

そして。呼び鈴のその先がこんなことになっているとは!
こちらとて来訪者の誰しも思い描かないと思うのです。

さあ、猿崎くんの演奏が始まりました。
ササっと駆けつけられれば、玄関扉を開けた瞬間にはまだ演奏中。
「なんなんですか、この奇妙な音は?」
室内に招きいれた途端、マジックのタネ明かしみたいな光景が。

という予行練習を、日に一度くらい試してしまいそうな自分。

思わぬ弊害もつきもので。
猿崎くんは電話をかけていても、打合せをしていても
時間を場所をわきまえずにシャンシャンシャンと動き始めます。
空気は読めません。不自由さゆえのファンキーってもんです。

反面、ヘッドホンをして音楽を聞きながらパソコンに向かう。
そんなとき目の前に置いておけば
猿崎くんが動き出した途端、来客に気付くはずです。
通常の呼び鈴では為しえぬワザ。完全に思いつきです。

それにしたって、普段人を寄せつけない自宅で
やたらとホームパーティーなど開催してしまいそうな自分がちょっとこわいくらいの、影響力ある代物です。
呼び鈴のその先の世界が、猿崎くんの存在ひとつで
目まぐるしく変わることだってあるかと思うのです。

オフィスでの活躍はもうありありとリアルに想像できてしまいます。
緊張感ある打合せの来訪も、相手の気を緩ませる和やかな会話からスタートできそうじゃないですか。
シンバルひとつで、社内を和ませる音頭とりもお手のもの。
疲労時だって癒しの一振りで、たちまち愉快な気分が復活。
リストラにだって負けない、欠かせぬスタッフになりそうです。

作動時間は11秒。シンバル鳴ること11回。

「がんばれ猿崎!」
と心のなかで応援したくなるような精一杯の演奏は
終わった瞬間にホっとするようなギコギコ加減。
体力消耗の危機をうっすらと感じます。

ちなみに、環境によっては作動時間の変更も必要なはず。
お客さまに演奏の終盤を届けたい場合は
ストップウォッチで駆けつけ速度を計測の上、ご相談ください。

できれば猿崎くんとは結びつきそうにもない格式高い表札と
あわせてぬかりなく使用してもらいたいところ。

千客万来ウエルカム!
ピンポンダッシュ、カモーン!
勧誘?あらごくろうさま!

いやまあ、いつまでそんなに寛大でいられるかわかりませんが
この音色、この風景が、ささいなことまでハッピーに変えてくれる。

いつものピンポンが待ち遠しいピンポンに変わることは
もう間違いなさそうです。


tk003800_d20.jpg

もっさもさの毛からのぞくベビーピンクの指が愛らしく。

tk003800_d21.jpg

威勢よく弾かれるシンバルが来客の合図。全身でお知らせ!

tk003800_d22.jpg

中古のおもちゃなのでところどころシミや汚れがあります。

tk003800_d23.jpg

おしりの下には年代を感じる電池部。


dot_line.gif

コミュニケーションツール

特命任務に真摯に応える世界にただひとりの猿崎くん。

作者は篠崎隆さん。篠崎さんはおもちゃのお医者さんでもなければ、おもちゃのコレクターでもなく、プロダクトから建築まで
幅広い領域でモノ・コトをつくられています。

それにしても、猿崎くんの修復と改造。
いささか突拍子ないようにも思えるのですが
篠崎さんにとっては決して特別なことではなかったようで。

役目を終えたヴィンテージのおもちゃを手に入れたとき
「修理して元の機能を取り戻す」だけではなく
そこに新たな意味を与えることが篠崎さんの当たり前。
その答えは、コミュニケーションツールでした。

コミュニケーションツールというキーワードをいただいたその日
猿崎くんを実際に手にとって、動かし、想像しながら、
「壊れたおもちゃが呼び鈴に変身!」だけでは語れないアイデアに
そっかそっか、すごいぞ、すごいかも!と改めてじわりくるものが。

自分ではない誰かの意思をもって動き、その動きを介して
「来たよ!」がこちらに伝えられる意思疎通の道具。
伝わり方だって「ブーッ」と、「ピンポーン」と、猿崎くんがせっせと奏でる「シャンシャンシャン」では、それぞれ印象が、楽しさが、扉を開ける顔が、全く違うかもしれない。こんな特別な呼び鈴だったら、
部屋のなかでまた新たな会話や笑いも生まれ得るわけです。

そっか。当たり前だと思っていたコミュニケーションが
すてきに変化するツールになっている!
機能を失い、さっきまで箱のなかにしまわれていたおもちゃが
人と人の間を飛び回る豊かな道具に飛躍しているぞ!

猿崎くんに初めて出会うこととなった展示会では
ほかにも篠崎さんのつくられた家具や小物なども目撃したのですが
同じ人がつくったのかな?と思うような雰囲気の異なる作品群は
篠崎さん固有のモノを見る目と、その先に続くアイデアにあふれ
デザイン主導に落ち着かないところに、妙なうれしさがありました。

篠崎さんのサイトはこちら
> アスタリスクスタジオ


tk003800_d30.jpg

お披露目の場は2007年秋 「prototypes」展。

tk003800_d31.jpg

展示会で発表された篠崎さんの作品たち。気になる小さな姿も。
(写真:太田拓実)

tk003800_d32.jpg

よくよく見るとあなた、けっこうコワイ顔してるのね。