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商品番号 | tk007703 |
商品名 | BALL SHIRTS |
価格 | BALL SHIRTS : ¥35,700(税込) |
限定数 | 販売終了 |
サイズ | 0/1 |
素材 | BALL SHIRTS : |
支払方法 | 先払い |
送料 | |
納期 | BALL SHIRTS : 1月下旬 |
備考 | この商品は返品不可とさせていただきます。 |
バイヤー | チバ |
見たことのない風景
2009年春夏のコレクション。
展示会の会場を訪れた瞬間、そこに広がっていたのは、予想もしていなかった世界。ちょっと見たことがない風景でした。
白い空間に吊るされた、たくさんの立体物。
中でも、まず目に飛び込んで来たのは、服を着せられた5つの立方体。
その向こうにも、服を着た三角錐や球体が、整然と浮かんでいます。
ファッションの展示会という言葉からは、想像しなかった光景。でも、全てが理解できるまでには、もう少し時間がかかりました...そして、本当の意味で驚きを感じるまでにも...
宙に浮かんだ、3種類のプリミティブな立体が各5点、つまり合計15点。そしてその横には、同じ色、同じ素材の服を着たボディが、こちらも15体。
まさに、左上の写真の光景です。
たぶん、この光景を見たら、多くの人がこう思うのではないでしょうか?「そうか、こんな球体や立方体をイメージして作ったのか」と。
でも、残念ながら、そうではありません。
立体とボディが着ている服は、実は全く同じ服なのです。
浮かぶ立体、それぞれの隣にはボディが
立体とボディとの関係が分かるまでには、しばし時間がかかりました
白いスタジオに、整然と並ぶ立体とボディ
展示会のカタログ(上が表面、下が裏面)
そう、立体に着せられていた服は、ボディが着ていた服と同じ服
と言うことは...
もうお気づきでしょうか?
ここに並んだ服、それはこの○△□の3種類の立体を型に作られた服。
つまり、通常の服が人間の形になぞらえるように作られるとするならば、これらの服は、この3種類のとてもシンプルな立体になぞらえて作られた服。
いわば、この立体のための服なのです。
しかし、服である以上、この服たちも人間が着るために作られています。
型から剥がされて、人間がその身にまとう時、元の立体によって作られたその膨らみは、その切断面は、そのヒダは、根拠を失い、不思議な造形となって人間の体にまとわり付くのです。
これが、今回のコレクションでANREALAGEが作り上げた、新しい世界。まるで知的なゲームのような、しかし、どれも独自の美学が貫かれた造形の数々です。
でも、ここでもう一度よくこの作品を見て欲しいのです。
例えば、CUBE TRENCH COAT。
遠目から見ても、それがトレンチコートだと分かるような、形、色、素材で作られています。
でもよく見れば、肩口からはゆったりと垂れ下がる不思議なパーツが、袖口には普通のトレンチコートには見られない鋭い切り口が、そしてさらによく見ると所々に直角に折れ曲がったボタンが。
残りの14点も同じです。どの服も全て定番の服の名前で呼ばれ、定番の服と同じ生地で、そして定番の服の特徴を持つようにデザインされています。
ジャケットにはジャケットらしい襟が、シャツにはシャツらしい袖口が、カーディガンにはカーディガンらしいボタンが、それぞれにあしらわれて自分のアイデンティティーを主張しているのです。
CUBE TRENCH COAT
色は、BEIGEとBLACKの2色
元の立体によって作られた、ディテール
BALL SHIRTS
STRIPE柄が2種類、WHITE×NAVYとWHITE×WHITE
(写真はWHITE×NAVY)
想像を超えて
もちろん、いくら定番の服のように作られていても、人の体とは似ても似つかないシンプルな立体に合わせて再構築されてしまっている服たち。
人が袖を通すと、元の立体とのズレによって、ふわりと膨らんだり、時に引っ張られたりして、元のシンプルな立体からは想像もできないような、繊細な造形を作り出します。
例えば、球体を元に作られているBALL SHIRTSは、ゆったりと弧を描くボタンの並びが特徴的。その周りにたぐられるようにふんわりと陰影ができて、ちょっとフリルにも近いような軽やかな動きができています。
硬い印象の立方体から作られるCUBEのシリーズは、必ずどこかに出てくる大きなヒダが特徴的。ゆったりとしたラインは、立方体が着ている時と打って変わって、時にかわいらしく、時にアーティスティック、でもどれも元の立方体とは全く逆の優しい印象です。
そして、何と言っても元の立体からは服になることが全く想像できないのが、PYRAMIDのシリーズです。ふんわりとした弛みができるかと思えば、PYRAMID PARKAの襟元のラインなどは、シャープで見たことのないようなラインです。
元のシンプルな立体から、まさかこんなに表情もバリエーションも豊かな服が生み出されるとは、本当にただただ驚くばかり。
そして、どの服にも共通して感じることがもう1つ。それは、どの服も早く人に着られたがっているように見えることです。
着て、動いて、風に揺れて。どの服もその時に、本当に活き活きとした表情を見せてくれそうで楽しみです。
PYRAMID PARKA
色は、GRAYとBLACKの2色
CUBE TAILORED JACKET
目が離せない
ANREALGEの作品を密買東京で紹介させてもらうのも、今回で早くも3回目。いつも、その創造性には本当に驚かされてしまうばかりです。
ボクも実際にコレクションを見るのは、これで3回目ですが、前の2回はどちらかと言うとディテールへの偏執的なまでのこだわりが本当に印象的だったような気がします。
でも、2006-7年秋冬の時には、アルファベットをモチーフにした作品も発表されていて、以前から普通の服作りとは全く違うモチーフから服を作り出すことには、かなり可能性を感じていたのだとか。
そして、アルファベットの時よりももっと制約のかかった状態での服作りが面白いのではないかと思っていたという森永さん。今回の3つの立体、○と△と□の持つ、誰もが知っていて、シンプルで、力のある形に、かなりの可能性を感じて、挑戦してみようと思ったそうです。
確かに、アルファベットの作品は実物を見た訳ではないですが、今回の方がより立体的で、表情豊かで、そして独創的な形が生み出されているような気がします。
いつも、発明的なほどに新しい驚きを与えてくれる、ANREALAGEの創造性。毎回コレクションごとの方向性の振れ幅も楽しんで欲しい、というANREALAGEの活動は、本当に目が離せません。
今回のコレクションも含め、今までのコレクションはANREALAGEのホームページで見ることができます。こちらも、是非合わせてチェックしてください。
> ANREALAGEのホームページ
これまでに紹介したANREALAGEの商品はこちら。
> 乱れ咲き
> ボタンでできた服!?
BALL ARAN KNIT
色は、WHITEとBLACKの2色
PYRAMID CARDIGAN
色は、GRAYとBLACKの2色
ボタンへのこだわりは今回も
(左:PYRAMID CARDIGAN、右:CUBE TAILORED JACKET)