見えないカタチ
商品番号 | tk015703 |
商品名 | BALLOON ARM ONE-PIECE |
価格 | BALLOON ARM ONE-PIECE:¥58,800 |
限定数 | - |
サイズ | 0/1/2 |
素材 | BALLOON ARM ONE-PIECE: |
支払方法 | 銀行振込・クレジットカード決済(PayPal) |
送料 | 無料 |
納期 | BALLOON SARROUEL PANTS:1月頃 |
備考 | この商品は返品不可とさせていただきます。 |
バイヤー | チバ |
何が見えるか
笑ったり、怒ったり、ときには泣いたり。
人は様々にその表情を変えて。
あるいは、和んだり、慌てたり、まどろんだり、神妙になってみたり。
一言に表情と言っても、実に多彩。
そんな表情を作っているは、顔や体。
ではなくて、表情を作っているのは人の心の中にある気持ち。
目には見えない心の形が、私たちの体を通して溢れ出てきます。
とても当たり前のことですが。
でも、今回のANREALAGE(アンリアレイジ)のコレクションを見ながら、ふと、そんなことを思っていました。
一瞬、天使の羽根かと見まごう肩の大きな膨らみ
あるいは、こんなに滑稽なほど腰の辺りが膨らんでいたり
思い思いのパーツが大きく膨らんだ人たちが次々と現れます
BALLOON ARM ONE-PIECE (¥58,800)
色:WHITE/PASTEL/MONOCHROME
肩の大きな膨らみは、大きくゆったりした袖のドレープに。
生地はオリジナルの薄くて軽やかな生地。
(下左:PASTEL、それ以外はMONOCHROME、WHITEは一番上の写真でモデルが履いているスカートと同じ生地です)
垣間見えたもの
「 」と題されたANREALAGEの2011 S/Sコレクション。
小さな白い風船と共に。
その案内状が届いたのは、奇しくもジョン・ケージの生誕100周年に向けて、街がほんの少しざわめき始めたのを知った、10月初めのある日。
その題名に、あの伝説の「4分33秒」が重なって、またいつもの勝手な妄想を楽しむことしばし。
3年ぶりにランウェイショーをやります。
そう聞かされたのは、ジリジリと焼け付く、あの夏の日だったか、あるいはもっと前のこと?
巨大な会場から溢れんばかり。
1,000人にもおよぶ観客が見守る中で、ショーは始まりました。
杉原一平さんの奏でるピアノが響く中、現れた一人目のモデル。
そこに現れたのは、腕から肩にかけて、あり得ない大きさで膨らんだ服をまとったモデル。まるで大きな羽根が生えたかのようにも見えるその姿は、芸術的な挑発とも、あるいはコミカルな姿とも受け取れて...
そしてまた現れる、肩の大きく膨らんだ姿のモデル。
さっきとはまた違う形。今度は肩だけが膨らんでいるものの、やはり驚くようなその大きさ。
体の一部が大きく膨らんだ服と、それをまとう体。その間に差し込まれているのは、空気をいっぱいに孕んだ透明な風船です。
けれど3人目のモデルが現れたとき、その姿に風船の巨大な膨らみはなく...
歩くたびフワリと揺れる軽やかな布が、膨らみの代わりに肩から腕のラインをそっと包んでいたのです。
その服は、さっき風船ではち切れんばかりに膨らんでいたあの服と、全く同じ形の服なのでした。
そしてまた現れる、大きく膨らんだ服を着たモデルたち。
肩、腰や太もも、そして胸や上半身...
色々なパーツが膨らんだ服を着たモデルたちが、現れては消えてゆきます。
BALLOON SARROUEL PANTS (¥27,300)
色:BEIGE/BLACK
思い切り膨らんでいた太ももは、とても上品なドレープに変わって、軽やかでキレイな表情に。
(下左:BLACK、それ以外はBEIGE)
BALLOON MIX KNIT PARKA (¥50,400)
色:RED/BLUE
マッチョな上半身の膨らみは、お尻の下まで包むゆったりしたシルエットに。
(上:RED、下:BLUE)
「新しい服」の作り方と...
ときに軽やかに、ときに上品に、そして大胆に。
空気をいっぱいに抱えて膨らんでいた布は、人がまとったときに豊かな表情を見せるドレープになるようにと、計算された服。
これが、今回のコレクションでANREALAGEが見せた世界です。
大きく膨らんでいた服は、空気を抜いてそのまま人が着ることができる。そしてその時、滑稽なほどバランスを欠いていたそのシルエットが、美しい姿に変わる。そんな風に作られた服。
明快さという強烈な力と、それとは裏腹にとても繊細な美しさを見せてくれるANREALAGEの服。
そんなANREALAGEのコレクションを紹介するのは、もう何度目でしょうか?
密買東京をご覧の皆さんからは、いつもかなり注目していただいていますが、まだご覧になったことがない方は、これまでに紹介してきた作品の数々を、是非一度ご覧いただければ。
そして、ANREALAGEのホームページも是非。
> ○ △ □ ?
> 凹 凸
> シルエット
> ちょうど良い服
> 乱れ咲き
> ボタンでできた服!?
> リペア魂 × ANREALAGE!!
> 昼の花/夜の花
特に、2008年に発表された「○△□」というコレクションから、今回のコレクションまで、毎回全く新しい方法に挑みながらも、ひとつの大きな流れの中で展開してきた各コレクションは、今回のコレクションを読み解く上でも、重要な手がかりになることと思います。
新しい服を作り出すことを強烈に希求し続けるANREALAGE。
そのために革新的かつ確信的に、服を作る方法自体を解体し、再構築しながらも、人が身にまとうその時に、いかに美しくなるかを追求しているのがANREALAGEの服作りです。
同時に、「着る」という本質を犠牲にすることを一切許さないその姿勢は、コンセプチュアルなその服作りを、むしろいっそうの高みへと押し上げている気がします。
そして最近のコレクションではさらに、コレクションの服こそ沢山の人に着てもらいたいという願いを込めて、違和感無く日常に取り込める価格設定がされているのも、ANREALAGEの強さの一つです。
BALLOON TUCK SHORTS (¥25,200)
色:ICE BLUE/NAVY
これも膨らんだ状態がかなり気になった1点。巨大なタックが深い陰影のある表情を作っています。
(上:ICE BLUE、下:NAVY)
BALLOON ARM BLOUSE (¥35,700)
色:WHITE/PASTEL/MONOCHROME
天使の羽根のような膨らみは、着たときもかわいらしい印象のシルエットを作り出します。
(写真はPASTEL、MONOCHROMEは上のBALLOON ARM ONE-PIECEと同じ生地、WHITEは一番上の写真でモデルが履いているスカートと同じ生地です)
新しい服の作り方
空気の形。
つまり、目に見えない形、形のない形、をテーマにした今回のコレクション。
通常であれば、ある程度決まりのある服の形に、どのように表情を付け加えていくか、それがデザインと呼ばれるのかもしれません。
でも、ANREALAGEがデザインしたのは、服が生み出されるプロセス自体。服がまだその形を持つ前の形。
形あるものの表層に変化を加えるのではなく、その形が生まれる根拠自体を創造するのが、ANREALAGEが取り組んだデザインです。
それは、人が着ると形を失う形。
でも、一見形を失ってしまうかのうように思えるその形は、軽やかなシルエットや動きとなって、新しい表情を持った服を生み出します。
目には見えない空気が、人の命を支えているように、見えなくなってしまった空気の形が、服に命を吹き込んでいる。そして服に活き活きとした表情を与えているのです。
そんな革新的な服作りを続けてきたANREALAGE。
しかも、一度見つけた方法にしがみつくことなく、毎回新しい方法を発見し続けるのが、ANREALAGEの驚異的な力なのだと思います。
革新的であり続けることを、当たり前にしてしまったANREALAGE。
新しい服を生み出す方法自体を追求し、そこで得た力を蓄積していく。そんなANREALAGEは、これからどんな世界を見せてくれるのだろうかと。
この先に、また大きな変化の時も待っていそうな予感がして...
これからも、本当に楽しみです。
FLOWER BALLOON (¥966,000)
ビニールの生地には、無数の押し花が封じ込められていて、ロマンチックに乱れ咲き。この服だけは膨らんだままでどうぞ。