Englishカートを見る

田んぼのマス目

商品番号tk022403
商品名

わく

価格

¥9,350(税込)

限定数

サイズ

本体:W42mm×D47mm×H49mm
パッケージ:W60mm×D60mm×H56mm

素材

メープル
植物性オイル塗装

支払方法

銀行振込・クレジットカード決済(PayPal)

送料

一覧表をみる >

納期

10日間程度

備考

この商品は返品不可とさせていただきます。
写真の色は実物と異なる場合があります。

バイヤーチバ

いつの間にか好きだった

能登デザイン室の奈良雄一さんがいるのは、能登半島に抱かれるようにして横たわる島、能登島。

その島の中でも東のはずれにある、小さな小さな町に住み、ここでデザインの数々を生み出しています。

それがいつからなのか、実は自分でも気付かないうちに、ボクは奈良さんのデザインが気になっていたみたいです。

今回紹介する、この小さなプロダクト「わく」。
2009 年の「第10回シャチハタデザインコンペ」で、原研哉さんの選ぶ原賞を獲ったこの「わく」も、当時目にして、おっ!と思ったのを覚えています。

そしてそれ以外にも。
奈良さんがデザインした時計など、どこかで目にして気になったのでしょう。ブックマークに放り込んでいたリンクを見直していたら、奈良さんのデザインをいくつか発見して、ちょっと驚いてしまいました。

いったい、いつの間に?

コロコロコロ

転がすと、原稿用紙のマス目が描かれます。

パカッ。

何気ない紙に書く飾らない一言が、ちょっと素敵に見えてきます。


dot_line.gif

田んぼとデザイン

でも、一番驚いたのは、そんな気になるデザインの全てが、都会から遥か離れたこの島の、さらにはずれのこの場所で、生み出されていたという事実。

しかも、そのほとんどが地元の作り手や、メーカーの手によって、世に送り出されているようなのです。

それって、ボクらが考えている未来を飛び越えて、実はちょっと先を行っているのかも、と驚きます。

ボクらもR不動産という不動産屋として活動をしていて、全国数ヶ所に仲間がいます。だから、いつもこんな想像をしていたのです。デザインの仕事とかなら、東京に住まないで東京の仕事をする、という生き方が普通になる日が、きっともうすぐ来るんじゃないかと。

実際、お客さんの中にはすでにそんな羨ましい生活を手に入れている人もいて。

でも、こんな洗練されたセンスで、このクオリティのモノ作りが、こんな日本の端っこでできるなら、東京の仕事すら受ける必要がないんだ、っていうことになります。

もしかすると、それは大昔には普通のことだったのかもしれないし、奈良さんはそれを自然体でやっているだけなのかも。

でもそれは「一周回って新しい」って思ってしまう生き方です。

そんな奈良さんは、この能登島で田んぼを借りてお米を作り、デザインの仕事をしています。

さっきのツヤツヤご飯も、奈良さんが育てたお米。それを奈良さんがデザインした土鍋で炊いて出してくれたのです。よそう器も、奈良さんのデザインで作られた地元のもので、想像していた通りのとても素敵な器に、思わず嬉しくなりました。


閉じると、六角形の角柱になります。

コロコロ前、コロコロ後。

(左)パッケージ (右)奈良さんからもらった能登の手漉き和紙

わくの端を、1つ前のマス目の線に合わせると、連続したマス目が描けます。


dot_line.gif

能登は日本のイタリア?

そして、もう1つ驚くこと。
それは、奈良さんが東京出身だと言うことなのです。

大学で建築を勉強した奈良さんは、卒業後にイタリアへ。
ガラス工房や建築事務所に勤め、ヴェネツィア建築大学を卒業します。

そして日本へ帰ってくるわけですが、その先は東京ではなく、なんとこの能登島へ直行だったというから、驚きます。

もちろん、縁もゆかりもないわけではなく、奥さんの実家が能登だったりはするのですが...

そんな奈良さんの口から出た、にわかには信じられない一言が
「能登は日本のイタリア」。

ボクが唯一経験した能登が、鉛色の低い雲に覆われた冬の能登だから、というのもありますが、「そうですね」とはなかなか返しづらい一言です。

イタリアは国なのに、能登は1つの県の一部ですしね。

でも、イタリアで培った感性と、能登や加賀の文化を支えるモノ作りの土壌が融合して、奈良さんのプロダクトが出来上がっているの見ると、妙に納得感があるのも事実です。

それでもやっぱり、いつか心から納得できる日が来ることに期待したい、と思わずにはいられませんが...


この加工は精巧すぎます。

恐ろしいほどピタッと合います。

無垢の木から削りだして作られています。そして、なんと接着剤や金具は使っていないのです。


dot_line.gif

田んぼの「わく」

さて、本題を置き去りにしすぎました。
今回紹介するのは、「わく」というプロダクト。

見ていただくと分かる通り、すごくシンプルに1つだけ機能を備えたプロダクトです。

スタンプ台でインクをつけて、紙の上でコロコロ転がす。
すると紙の上に原稿用紙のマス目がスタンプされる、という仕組みです。

しかも、全てが木でできているので、出てくる線には何とも素朴な味わいがあって素敵です。

特に、ちょっと厚めの和紙に押すと、何と言えず良い雰囲気。
さらりと一言したためて、葉書として出したくなります。

何気ない紙に書く飾らない一言でも、こんなマス目に書くだけで、素敵なメッセージに見えてしまうのは不思議なものです。

さて、そんな素朴な機能を持った、小さなわく。
でも、良く見ると精密機械のごとく、緻密な加工によって作られているのが分かるでしょうか?

木のケースの中に、ローラー部分が収められている作り。
その全てが無垢の木を削りだして作られていて、金具や接着剤などを一切使わず、木と木をはめ込むだけで作られてます。

しかも驚くことに、全く遊びなし。

この素朴さと、精密さのバランス、というかアンバランス。
かなり心掴まれてしまいます。

この木の加工をしているのも、もちろん地元の企業です。
手がけているのは、富山県高岡市にある、嶋モデリングという木型やモックアップから、建築の装飾まで、様々な立体造形を木で作っている会社だそうで、奈良さんいはく、加工の精度がとにかくすごい。

この精密な加工に触れることができるのは、わくを手に入れた人だけの特権です。実物で存分に愉しんでもらえたら嬉しい限り。

さて、田んぼでお米を作りながら、デザインもしている奈良さん。実は、このわくの発想のきっかけは、その田んぼにあったのです。

写真で、田んぼの中に置いてある、六角柱の木の道具。
これが、「わく」という名前の農具です。

田植えの朝、このわくを転がして田んぼに四角いマス目を描く。そして、そのマス目に合わせて稲の苗を植えていくそうです。

田植えもすっかり機械化された今では、ほとんど使われなくなったというこのわくを使って田植えの準備をしていたとき、田んぼにできたそのマス目模様が、まるで原稿用紙のようだと思ったのが、この小さなプロダクトが生まれるきっかけだったという、まさに奈良さんの暮らしが凝縮されたようなプロダクト。

ちなみに、1回のコロコロで3行分の罫線が出てきますが、端の線にわくの端を合わせて転がすと、続きの行を作れる仕組み。

ちょっと沢山書きたいときや、長編小説に挑む方も、是非コロコロしていただければ。

 
そして、能登デザイン室のサイトでは、奈良さんの他のプロダクトも見ることができます。
> 能登デザイン室 能登島にあるデザイン事務所

それから、嶋モデリングへのご依頼はこちらから。是非。
> 有限会社 嶋モデリング


これが、わくのヒントになった、農具のわく。
転がすと田んぼの中にマス目が描かれます。
ちなみに、ここから下は能登デザイン室のサイトからお借りした写真。奈良さんは写真の仕事もされています。

描かれたマス目に合わせて、苗を植えていきます。

奈良さんの田んぼ。お米が美味しそうです。
能登デザイン室のブログには、田んぼの様子が沢山載っていて、更新が楽しみです。

能登デザイン室です。