手のかかる子供
商品番号 | tk023602 |
商品名 | 鉄釉 輪花 |
価格 | 鉄釉 輪花 六寸皿:¥3,456(税込) |
限定数 | - |
サイズ | 鉄釉 輪花 六寸皿:Φ185mm×H15mm |
素材 | 陶器 |
支払方法 | 銀行振込・クレジットカード決済(PayPal) |
送料 | |
納期 | 3ヶ月程度 |
備考 | この商品は返品不可とさせていただきます。 |
バイヤー | mikayama |
どんなモノも
一般的にどんな器も手がかかっています。当然です。工業製品であってもそれをデザインした人、流通させる人、販売する人。クラフトの作品だとなおさら手がかかる。文字通り。
初めてクラフト業界の人と話をしたとき、自分の作品が売れていくのを子供の嫁入りに例えて話す人が多くてびっくりしたのですが、何人もの作家さんのところに伺って、作品を作る現場や過程を見させてもらううちに、そういう例えをしたくなる気が分かるような気がしてきて。当たり前に手間がかかっているんですね。どんな作品であれ、製品であれ手間がかかっている。
陶器というより鉄のような光沢感
すごく男っぽい
大きさは六寸、五寸、四寸
ベーシックな平皿です
その出自と性質
では、冒頭に説明した「手のかかる子供」とは何か?
実は出自とその持って生まれた性質に問題があって。
この器。実はすごく偶然に生まれています。意図することなく。
器を焼くとき、いろいろな成分の土や釉薬で様々な温度・環境で焼き、皆さんの手元に届いていたりするのですが。たまたま作者の加藤祥孝さんが鉄分の多い黒色の釉薬をかけた器を乳白色の釉薬の器と一緒に焼いたことがあったんですね。その際によくある手法なのですが乳白色の器の縁の部分に黒い縁取りが生まれるように、温度を上げきった後に酸素供給を止めずに自然に窯の温度を下げるのではなく、わざと焼き終えた後に酸素を止めて、炭を作るような手法なのですが、煤を出してそれを縁に付着させる焼き方をしたんです。
そしたら、今でも何が原因だったか分からないそうなのですが。その黒い鉄分が多い釉薬をかけた器に、煤が全体的に乗ってしまい。さらにそれが温度か分からないのですが融けて、溶岩の固まったようなおどろおどろしい焼き上がりになってしまったんです。
さて。それを加藤さんどうしたか?
通常は意図せず生まれてしまった、というよりミスで生まれてしまった器なので廃棄するのが一般的なのかもしれないのですが。なんか良いぞ。と思い、とはいえ、そのおどろおどろしい器では使えないので、一生懸命やすりをかけてその部分を削っていったんです。そしたら、元々鉄分の多い釉薬だったためか鉄っぽい光沢が出てきたり、単純な黒ではなく錆っぽい部分が出てきたり。あまり見たことない作品に生まれ変わったのでラインナップの一つに加えた訳なのですが。。
この器、使う側の人にはちょっと問題があって。あまりにも鉄っぽさが出てしまっているためか、元々黒色だったためか。料理の器としては想像しづらい器になってしまっていまして。。珍しいし、かっこいいのですが使い道が分からない、つまり売れづらい器になってしまったんです。
なんか色気があるアトリエ
奇跡が起きてしまった窯
元々はこんな感じの縁のラインを入れる予定が、、
困った子たちです
捨てられない
こんなことは加藤さん自身、この器ができてしまった瞬間から分かっていたし、自分でクラフト展とかに持って行ってお客さんの反応見て、やっぱり確認できて。
でも、その器のシリーズを捨てることができなかった。普通に作る器より研磨の部分で手間かかるし、別に自分が意図して生んだ作品でもなかったんだけど、でも捨てることができなかった。
結果的に今ちょっと困った作品群になってしまっておりまして。
でも、モノ自体はすごくかっこいいんですよ。まあ、これが困っている原因なのですが。
ちなみにこの作品、土も特殊で。基本半々ぐらいで地の土と、安定している購入してきた土を混ぜて使っているので、通常の器よりはすごく素地が荒くできていて。地の土に鉄分が含まれていることも多くあるそうなのですが、その場合には焼成の際に穴ぼこができたりしてしまいます。とはいえ、完全に穴というわけではなく、塞がっているのですが。きれいな表面ではないんですね。さらに釉薬と焼き方の影響でさらにぼこぼこしていて。上記のとおり研磨しているので、表面上はある範囲まで仕上がっているのですが、でもずいぶんと荒いというか、男っぽい器に仕上がっていると思います。
あ。こんな状況なので個体差かなりあります。錆感の強いものやそうでないもの。穴の開いているものやそうでないもの。安定感の全然ない器です。
そんなこんなで「手がかかる子供」でして。でも愛すべきやつだったりもします。
皆さんにとっても「手がかかる子供」だったりすると思うので、上手く生活の中に馴染んだ時の満足感は半端ないと思います。自分の中では色味が強いベリータルトのようなケーキとかはあう気がしているのですが、そういうスタイリングのセンスは皆無の人間だったりするので、こんなのに使ったらすごい良かったよ。みたいなことはぜひ教えていただきたく。生きる道を見つけてもらえるとすごくうれしかったりしています。
モノによってこんな感じの穴が開いています(塞がってはいます)
裏側の様子
砂鉄のような表情
意外に遠くに来たもんだ