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異常なランドセル

商品番号tk025802
商品名

japanese school bag

価格

¥129,600(税込)

限定数

-

サイズ

内寸
※普通のランドセルのサイズと一緒です。
背胴側 w250mm×d110mm×h310mm
前胴側 w250mm×d50mm×h250mm

素材

支払方法

銀行振込・クレジットカード決済(PayPal)

送料

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納期

3ヶ月程度

備考

この商品は返品不可とさせていただきます。
写真の色は実物と異なる場合があります。
ご注文前に、本文も必ずご一読ください。

バイヤーmikayama

片隅にあったランドセル

密買でも取り扱わせてもらっている今年の秋冬のオマージュシリーズはエアジョーダンです。オマージュシリーズも10作目を迎えて、そのときにエアジョーダンをやろういうのは結構前に決めていた、とのこと。なぜならオマージュシリーズ自体「冗談」だから。というのは柏崎さんの飄々とした、本当かウソか分からないいつもの話なのですが。

ここ数シーズン。靴以外のプロダクトも充実してきています。
前シーズンの革のポンチョとかも秀逸だったし、今シーズンの眼鏡界隈の革シリーズや帽子とか、ステーショナリーとか。素材の使い方とデザインの力の入りすぎていない感じ。共感できるもの多いです。

その展示会のすみっちょにこれが置いてあったんですね。ランドセル。

光沢感は当初はあまりありません

すごくシンプルな姿です

サイズの内寸はこの2つのポケットの大きさを測っています

ランドセルの金具を卸してもらうのに苦労しました。なかなか一見さんには卸してくれないんです。


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なぜかが分からない

もちろんそれがランドセルであることはすぐわかりました。でも普通のランドセルには当然感じない異様な雰囲気を放っていて。これが売るという目的で作られていないことだけはすぐに分かったので。密買東京として受け取らないと誰が受け取るんだ、という妙な使命感にかられまして。「取り扱わせてもらいます。」という宣言だけして、その展示会を後にしたんです。

で、撮影用にサンプル預かって、一人でじっくり見てみたのですが、、やっぱり分からないんですね。何が異常か。もちろんヌメ革を使っていて、それが普通のランドセルと違うのは分かるんです。でも、素材だけの話じゃない気がする。でも分からない。。

もちろん柏崎さんにも話聞くのですが、電話だったことと僕がそもそもの革の知識をそれほど持っていないことで、なかなか腑に落ちないんですね。キーワードが「コバの仕上げ」と「通常のランドセルの作り方ではない」ということしかいまいち分からない。なので、製造元の大久保さんのところに柏崎さんと一緒に伺わせてもらったんです。


小学生にしょってもらいました

そんなに違和感ありません

なんかランドセルが大きく感じる

転んでも頭打たないようにランドセルは厚みがあるらしいです


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このランドセルの秘密

さて。ここからが本番。
このランドセルは普通のランドセルと何が違うのか?

まず基本はオマージュシリーズのスニーカーと一緒です。
見た目はランドセルに似せて、というか本物そっくりに作っていますが、構造自体は全然違います。分かりやすい部分でいうと、通常のランドセルは強度を中にプラスチックとか仕込んで持たせているのですが、今回のエンダースキーマランドセルは底部分に留め具を付ける必要があってプラスチックを仕込んだ以外は革の自然の厚みや張りによる強度のみで形を成型しています。
これ結構すごいことで。革だけの立体物って意外にないんです。トランクとか旅行鞄で革を使っている商品あると思うのですが、あれ当たり前に革の中にプラスチック等の強度を保つものを仕込んであって、革自体が構造を担保しているわけではありません。そう考えると靴ぐらいの大きさが革自体での立体の目につく最大のものでして。。
それを今回は革だけですごく立体のカバン(ランドセル)を作るということにチャレンジしていたりします。ちなみに前出の大久保さんは基本的には革小物の製造をやっている方で、そもそも鞄職人ではないんですね。ただ、技術力を柏崎さんが信用していて、あとは結構やんちゃなことでも受け取ってくれるので、エンダースキーマのバッグや小物で手縫いが必要なものはだいたい大久保さんにお願いしているそうなのですが。

もちろん大久保さんにとってもランドセルを作るのは初めてで。毎度のことながらランドセルの解体からスタートして。でも構造は別の方法になるので、デザイン一緒だけど設計図は全く違って。解体したのを参考にしながら手探りでつくる、ということをやっています。

あと、もう一つのポイント。
「コバを仕上げてあること」
これも結構異常なことでして。通常のランドセルだと、というか、通常の革製品は全てなのですが、コバは隠すことが一般的です。折り返したり、当て布をかぶせたり。そもそもコバって革と革が合わさる部分で発生するのですが、その合わさるのがきれいに合っていないとコバを仕上げることができないし、それがきれいに合っていないと汚い部分になってしまうので、そもそものデザイン上隠すことにしてしまうんです。分かりづらいですね。。要はコバを見せるということ自体が技術の表れだということです。しかも、靴とかと一緒でランドセルも曲線が多く出てくるデザインなので、よりそのコバを合わせることが難しくなってきます。

ちなみにエンダースキーマのオマージュシリーズの裏側にインダストリアルアートプロジェクトというシリーズがあります。オマージュシリーズで取り上げたスニーカーを高級紳士靴の職人さんに作ってもらっているんですね。革の質も作り方の精度も違う。後者はコバが仕上がっている。価格は倍ぐらい違います。コバを仕上げるというのはそういうことなんです。

で、このランドセルはコバを仕上げています。
スニーカーと同じく、カバンにしては部品数が多いランドセルのコバを全て。これだけでも異常なのですが、さらにステッチを並み縫いで全て仕上げています。家庭科で習ったあれです。通常の革小物は表裏両側から針を入れるクロスステッチが使われています。もちろん強度の問題もあるのですが、それよりもデザインとして通常はきれいに仕上がるためクロスステッチを使います。逆に並み縫いで仕上げると縫った断面が並々になってしまうんです。普通はこれは嫌われる。コバを仕上げるような高級品仕様であればなおさら。でも今回のランドセルはコバを仕上げた上での並み縫いステッチ。革でこんな変な仕上げを行っているのは多分エンダースキーマしかいない。

なぜそんなことをやっているか?なんかかわいいから。
実際によくよくランドセルを眺めているとこの並々のコバ部分がデザイン上重要な要素になっていることが分かってきます。間違った。そんなかたっくるしい話じゃない。。
ちゃんとしているんだけど、この並み縫いとちょっとコバの並々している感じで気が抜けて。単純にかわいいんです。


製造をしている大久保さんの秘密基地

中には革を仕上げるミシンやら漉き機やら

今回使用している糸。すごくがっしりした糸です。

コバがなみなみしている感じ分かりますか?


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勇者待ってます

全てはここなんですね。実は。
柏崎さんは手間とか一切抜きにして、直感的にこれいいじゃん!を作品にしていたりします。もちろん商売をするための商品もありますが、それとは別のものとして作ってみたい!がそのまま作品になっているものがいつもコレクションに混じっているんです。今回のランドセルも前回の革のポンチョもインダストリアルアートプロジェクトも全てそう。売れると思っていない。でも、なんか作ってみたい、からスタートしています。
まあ、そもそもはオマージュシリーズ自体がそうだったりすると思うのですが、意外に受け入れられてしまったので分かりづらくなっています。

こういうタイプの商品は手間的に価格が高くなってしまいます。でもできれば売れる作品にしたいという意味で、原価計算的にはその手間の部分が安く見積もられてたりします。なので、ランドセルでこの値段!?というのとは別の意味でこの作品はお買い得だったり。まあ、この話は言いすぎると胡散臭くなるのでやめときます。

あ。言い忘れないように。
このランドセル、そんな変な理由で作られているので雨にも弱いし(オマージュシリーズで使われている素上(すあげ)のヌメ革よりは染料で加工されているため多少強いです。でも弱いです。)、そもそも小学校6年間強度が持つのかもよく分かっていません。もちろん持たせる前提で作っているのですが、誰もこんな変なプロダクト作っていないので前例がないんですね。その代わりと言ってはなんですが、もし使っていて経たることがあったらエンダースキーマで修理する前提でいます。

あと、もしかしたらいじめられるかもしれません。とても目立つので。自分の子供にこれを持たせるのは実は僕はためらいます。
でも、多分ランドセルってすごく思い出深いもので。もしかしたら今でも取っている人いるんじゃないかと思います。ぺっちゃんこになって、ぼろぼろになったやつを。普通に大人になっちゃうと6年間ほぼ毎日同じバッグを持って生活する、って想像つかないし。逆にそれを経て使い込まれたバッグってやはり思い出いっぱいで。それに見合うバッグを持っていれば、修理してさらに何年も!とか夢を見たくなったりするとも思うんです。まあランドセルですからそんなに何年も持ち歩けないと思いますが、それでも。。

いろいろ書いてしまいましたが基本的にはわがままを聞いてくれる人を探していたりします。率直な要望として見てみたいんです。このランドセルが6年間使い込まれた姿を。
勇者現れるの待ってます。結構本気で。

密買東京では他にエンダースキーマの下記の商品を扱っています。ヌメ革の使い込まれた風合いも下記のページでご確認ください。
> 軽やかなバランス感

エンダースキーマについて詳しくは下記をご覧ください。
> HenderScheme


コバも妙に光沢感ある仕上げではなくてヌメ革に合うようにシンプルに仕上げられています

真ん中にエンダースキーマの刻印入り

勇者待っています!