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お茶のしあわせ

商品番号tk008400
商品名

サカナマン

価格

湯呑み : ¥4,070(税込)
急須 : ¥17,600(税込)

限定数

購入ページでご確認ください

サイズ

湯呑み : おおよそ 直径68mm×高さ60mm
急須 : おおよそ 130mm×120mm×高さ95mm
(ポット部分 : 直径80mm×高さ70mm)

素材

磁器

支払方法

銀行振込・クレジットカード決済(PayPal)

送料

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納期

約1週間

備考

この商品は返品不可とさせていただきます。
写真の色は実物と異なる場合があります。
漂白剤のご使用はおすすめしません。

バイヤーヤナギサワ

不思議と魅力的なバランス

片手にのせて全体を包めるような、ちょっと小ぶりの湯呑み。
くいっと一息にいったら飲みきれちゃう分量だから、一口ずつ大事においしくお茶をいただきたい気分になります。

器をおおう、鈍く光る金と銀。
魚のようでいてまるで違う生物にも見える、不思議な絵。
内側から外側へと垂れるようにはみ出す絵のレイアウト。
すこしボンヤリとした色彩も、繊細な筆のタッチも
全てが偶然のようにうまくはまりすぎていました。

金と銀は絵付けの製法上、ピッカピカにはできないらしく。
でもそれがよかった!でなければ、ひょっとしたら、
このトキメキは生まれなかった気がするのです。

絵の部分は、触れてみるとふっくらとわずかな盛り上がりがあり。ただべったりとした絵に比べ、生物が化石みたいに張り付いてしまったような、「いる」って感じの存在感がなんともよくて。器の外にはみ出す尾ひれは、まるで塗料の液だれの、偶然が生んだ形の魅力みたいに、金銀を背景に魅了される表現。

器に感じ入っているわたしに知らされた
恐ろしく潔い作品名は

サカナマン!

架空のサカナ?
生々しくないサカナ?
哺乳類のようなサカナ?

甘美な気分から、ハタと我にかえらされてしまう意表をつく名前が、悔しいけどほんと憎めない‥。

それでも、愛でてばかりのお茶を入れられない時間が
しばらく続いてしまいます。

サカナマン 金!

サカナマン 銀!


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お茶の楽しみ、再び!

器は基本的に、絵が入ったものにさほど魅かれない性分です。気に入る器の多くは無地で、柄ものはピンとくるものも多いし実際にもっているものも。絵の入ったものについては思い出せる範囲で所有数2点くらい、かな‥。

お正月などの晴の場や、ちょっと気合いを入れた外食の場では、主張のある絵皿やお椀や酒器などが気分に合っていてうれしいし、実際にごはんもおいしくしてくれます。
逆に日々の生活で使う器は、色形や風合いの違いは楽しみつつ、主張しすぎないシンプルなものほど出番が多く毎日使いやすい。

でも、この湯呑みは一目見てピンときました!
かなり個性的な絵ではあるし、生物からはキャラクターもちらりとのぞく。おまけに輝きに包まれています。

主張がないといったらウソになるかもしれないけれど、主張が意図されていないというか、実はニュートラルにごく素直につくってこうできてしまったというか、不思議とそんな印象だったのです。

一日何十杯とお茶を入れて飲んでいると、半分流れ作業のようになってきてしまって、お茶の心なんてすっかり忘れてしまっていたような気がします。ときどき入れる心から欲した丁寧な一杯は、飲むときもやっぱり研ぎ澄まされているせいか、特別においしい。

一杯一杯を丁寧に入れること、少しだけ姿勢を正して特別な気分でお茶に向き合うこと。この湯呑みならお茶のしあわせを日々改めて感じられるかも!という直感。

とっておきの一杯のためにはもちろん、日常的に使うにも思いのほか邪魔をしない雰囲気は、はてどこからやってくるのかなあ?と。

その答えを富山で発見できたような気がします。


お茶の時間が楽しみになりそうです。

抑え目でかっこいい試作。いつかきっと紹介させてもらいたい。

細い細い筆。それでもあの微細さを表現するのはむずかしく思える。


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かん子さんそのもの

初めて訪れた富山には、この湯呑みをつくってくれた小杉かん子さんに会いに行きました。知らない土地に行って会える人がいるというのは、なんとも心強く楽しみも倍増します。かん子さんの顔さえ知らないとなるとなおさら。

駅で待っていてくれたかん子さんと工房に向かい、早速見学。そのあとに、いろいろな話を聞かせてもらいました。

そこで差し出されたお茶!
描かれた生き物は違うけど、まさに求めていた湯呑み!!

湯呑みが載せられた茶たくがまたすてきで。
そのまま言葉にしてみたら
うれしいことにこの湯呑みの誕生秘話が聞けました。

お母さんの嫁入り道具のひとつでもある茶たく。かん子さんは以前からとても気に入っていて、この茶たくにしっくりくる湯呑みをつくろうと思ってできあがったものが、今回紹介する湯呑みだったんです。

素焼きから本焼き、金・銀の色入れをして再度焼き、生き物の絵付けをしてからふくらみをつくり、4回目の焼きでようやく完成。陶器よりさらにデリケートな磁器は、焼いてみたら鉄粉が浮き上がってきたり亀裂が入ったりと、慎重さを要する作業とたくさんの工程が、この小さな器に詰め込まれているわけです。

絵付けの作業を見なくとも、細い細い筆でこつこつと丁寧に不思議な生き物たちを生み出していく姿は、かん子さんを見て話を聞いていれば、もう十分に想像できてしまいました。

この絵からなんとなく想像してもらえるでしょうか?
かん子さんから生み出される絵は、まさにかん子さんそのもの!不思議と穏やかで、マイペースだけど何も邪魔しなくて、淡々と、それでいてルールにとらわれすぎることなく自由に。

丸一日一緒にいさせてもらって、最初から最後まで、一点の曇りもなく、緊張もせずに自然と接することができたかん子さん。その存在感が、わたしにとってのこの器そのものです。

工房で見ることができたほかにも様々な種類の作品、チャレンジの跡、何気なく描かれた絵も、全てがすごく伸びやかで。

九谷焼の修行を終え、地元が好きで富山に戻ってつくり続けることを選択し、そのほかはいままで基本的に流れに身を任せてきたと話してくれました。でも、そのゆるやかな流れのなかでこそ、がんじがらめになることなく、かん子さんしかつくれない独特の表現に出会えたんだろうなって感じます。

試作のなかに、いずれか紹介させてもらいたい器もあったので、すかさず「ぜひに」とお願いしてきました!
またよい報告ができる日を心待ちにしています。


※使用上の注意
茶渋除去のお手入れ時に、漂白剤の使用はおすすめしません。洗剤要らずの消しゴムのような白いスポンジをお使いいただくと、ガンコな汚れもきれいにとれるそうです(かん子さん談)。


かん子さんが入れてくれたお茶。この茶たくがあって誕生した湯呑み。

和柄ですら、かん子さんが描くと独特の表現を感じとれます。

不思議な生き物を描く人の工房には、たくさんの動物がいました。

いたるところに自由な絵が飛び交う作業場。


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念願の急須

湯呑みの紹介から半年ほどの時間が経ち
つい先日、かん子さんから念願の急須が届きました!

もともとサカナマンの急須は存在しました。
ただ、さらなる理想形を紹介したいというこちらのわがままで、気になる部分に関していくつかのお願いをしたところ、快く引き受けてもらって。何度か試作を重ね、とうとう待ちに待った完成品が!

凹凸と立体感にあふれる場所を与えられたサカナマン。
水の中をゆらゆらと泳ぐ流動感は、湯呑みとはまた違った趣がありました。ふたと本体にまたがって泳ぐサカナマン、持ち手から注ぎ口にかけゆるやかに泳ぐサカナマン。2匹のサカナマンはまるで急須に張り付いてしまった化石のよう。

ふっくらとした丸みは、高さ方向にシュッとした品の感じられるすてきなフォルム。ふたの薄さや、コロンとした取っ手も、いかにもかん子さんの手仕事。内側の茶漉しにあたる部分も繊細な仕事のあとが感じられ、妙にキュンときます。なんだかイチゴみたい。

そしていちばん気に入ってしまったのが、ラッパのような持ち手!
金銀にピカピカと輝き、サカナマンの尾ひれがからまって、中から何か出てきそうな洞窟には先端に魅惑の穴が。

形状が特別なので、最初は先端部分に少し鋭い感触を覚えるかもしれません。でも慣れてしまうと、手のひらに軽く食い込んでくれるせいか、滑り止め的効果も感じられます。

早速お茶を入れてみると、サカナマンの小ぶりな湯呑みに2杯半ほどの急須の容量。湯呑みと急須、セットで揃ってしまった今、お茶入れのしあわせな時間はさらにパワーアップするはずです。


サカナマンがゆらーり。金銀それぞれの魅力があります。

なにげなく美しいフォルム。ラッパのような持ち手がお気に入り。

イチゴのような手づくり茶漉し

とうとう完成!セットでお茶をどうぞ。