ボタンでできた服!?
商品番号 | tk002304 |
商品名 | 祈りジャケット(セットアップ) |
価格 | 祈りジャケット:¥3,300,000(税込) |
限定数 | 各1 |
サイズ | レディースSサイズ(但しサイズは調整可能) |
素材 | 祈りジャケット:ベース表地:ポリエステル100%、別布コットン100%、ボタン各種 |
支払方法 | 銀行振込・クレジットカード決済(PayPal) |
送料 | |
納期 | 約1週間 |
備考 | この商品は返品不可とさせていただきます |
バイヤー | ヤマダユウ |
ANREALAGEのジャケット
一目見れば、誰しもが圧倒されるその迫力、そして存在感。このジャケットの上下に縫い付けられているのは、そうです、全てボタンなのです!
そして初めてこのジャケットを見た日から、僕はこのジャケットに、そしてこんな服を本当に作ってしまったファッションブランド、ANREALAGE(アンリアレイジ)にすっかり心を奪われてしまったのです。
白の「祈りジャケット」には5000個のボタン!そして金色の「フルメタルジャケット」には何と15000個のボタン!!が使用されています。
約20kgというフルメタルジャケットの袖を、何気なくひょいと持ち上げた瞬間、手には期待通りのズッシリと重い手応えが...。
そして、その重さから、アトリエ内でボタン一つ一つを丁寧に、精魂込めて縫い付けた彼らの、服作りに対する惜しみない愛情と、真摯な姿勢が深く感じられたのです。
そう、ANREALAGEは今、大きな注目を集め、活躍を続ける東京発のファッションブランド。
ただ、ANREALAGEは、もはや、現代日本における手工藝の新たな担い手とも言えるのです。
祈りジャケット。5000個のボタン使用
近くで見ると、様々な種類の白と透明のボタンが。
フルメタルジャケット。20000個のボタン使用
近くで見ると、様々な形の金ボタン。
神は細部に宿る
と言う訳で、早速、こんな凄まじい(そしてカッコイイ)服を作っている、ファッションデザイナーであり、現代の工藝家、ANREALAGEさんのアトリエにお邪魔し、デザイナーの森永邦彦さんにお話を伺いに行ってきました。
真っ白な空間のアトリエに入れば、ミシンが一列に整然と並んでいている風景がまず眼に入ってきます。そして反対側には…ありました!祈りジャケット。相変わらずの存在感です。
ちなみに森永さんは一見、強面ではあるのですが、実はざっくばらんにお話できるとっても優しいお兄さんです。趣味は漫画とのことで、お気に入りは藤子F不二雄と井上雄彦だそう。僕も井上さん好きですよ、などなどと雑談が続いたのですが、さて、そろそろ雑談も切り上げてさぁ本題へ。
森永さん答え:2007SSシーズンに「祈りジャケット」を、2007AWシーズンに「フルメタルジャケット」を発表したのですが、大体、ファッションデザイナーは、ボタンのチョイスに関しては、生地の色に合った形と色のものでいいという感覚で。探すのもアシスタントさんに任せて「付けといて」みたいな、実は、ボタンって案外デザイナーが服作りをする上で、最もないがしろにされがちな存在なんです。だからこそ、自分はボタンという存在にもう一度光を当ててみようかと思い、それをテーマに服作りに取り組み始めたのがきっかけですかね。日頃から、ちっぽけで通り過ぎてしまうような事に夢中になる、という信念がありますので。
問い:ふむふむ、それでボタンでこんなジャケットを作ってしまったり、他の洋服に使うボタンですら、ANREALAGEはオリジナルで作ってしまっていたりするんですね?
森永さん答え:僕のイメージではボタンって、服を構成する要素の中では非常に機能性のあるパーツだと考えているので、寧ろ「画竜点睛」的な扱いで逆に気を使う部分で、それも自分の中では自然な流れです。
お喋り続き:あと、以前からコレクションで緻密なパッチワークの作品を多数発表していますよね。飽くまでディテールにこだわっているから森永さんだからこそ、自身の服作りの信条である「神は細部に宿ると信じ、遠回りすることに価値をおいた服づくりを追究している」という言葉は、非常に的確で、しかもとても文学的ですよね。
森永さん答え:「神は細部に宿る」っていい言葉ですよね(お互い深く頷く)。
お喋り続き:あと、例えばコレクションのタイトルテーマも2005AWの「スズメノナミダ」 や2006AWの「カノン」とか、他にも、これらのジャケットが発表された2007SSの「祈り」、AWの「ハルカハル(遥か晴る)- OVER THE RAINBOW -」など、どのタイトルもポエジーなところに魅了されるんですけど、例えば森永さん好きな作家とかいます?
森永さん答え:太宰治が好きですね。
それに対する答え:そういえば僕の実家の通りに太宰治が住んでたみたいでね…。
こうしてまた話は脇道に逸れていったのでした…。
清潔感のある白で統一されたスタジオ内左手。ミシン整列。
でも11月に大改装予定のスタジオ内右手。祈りジャケット存在感抜群。
森永さんのイメージ。強面だけど実は優しいお兄さん
こんな美しいボタンもオリジナルで作っておられます。
まとめ:現代の「鎧」論
これらのジャケットに代表されるようにANREALAGEが世に送り出す洋服は、正に現代におけるアヴァンギャルドと言えるでしょう。十分に革新的(しかも核心的で、確信的)なデザインは、彼らのディテールへの飽くなき追求と、気の遠くなるような緻密な作業がそれを支えています。
また、そこには洋服の機能性や利便性の象徴であるボタンを、寧ろ機能性を排し、装飾のみの目的で使用するという、アイロニックな意味での価値の転換を計り、実際に試みた点が特に興味深く思われます。
そんなANREALAGEのクリエイションの結晶であるこれらのジャケットは、現代のファッションが提示する一つの新しい「かたち」でありながら、と同時に、我々に古き良き日本の伝統工藝を支えていた一つの価値を思い起こさせてくれます。「手業」という古き良き、そして今も変わらぬ価値を。
これらのジャケットは、フルメタルというその名の通り、現代の「鎧」です。
日本やヨーロッパの王侯貴族が、自身の居館や城に「鎧」を飾っていたように、我々もこんな現代の「鎧」を家に飾り、そして時々これを着て、街へ戦いに出てはいかがでしょうか?
ANREALAGE(アンリアレイジ)プロフィール
デザイナー、森永邦彦が手がけるファッション・ブランド。森永は1980年東京に生まれ。早稲田大学、バンタンキャリアスクールを卒業。在学中よりファッションのサークルを作り、ショーを行い、それがANREALGAEの原型、前身となる。2003年にブランド設立。2005年 にニューヨークの新人デザイナーコンテスト「GEN ART 2005」でアバンギャルド部門最優秀賞受賞。同年、11月、東京タワー大展望台を会場にコレクションを発表。以降東京コレクションにて発表を続ける。神は細部に宿ると信じ、遠回りすることに価値をおいた服づくりを追究。
ANREALAGEのオフィシャルサイトはこちら
> ANREALAGE CO.LTD
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ANREALAGEの緻密で絶妙なパッチワーク。
2007SSコレクション「祈り」風景。
2007SSコレクション「祈り」風景。その2
2007AWコレクション「ハルカハル」。