祝うキモチ・祝うカタチ
商品番号 | tk009800 |
商品名 | KIOKUGAMIシリーズ 和菓紙三昧 祝儀袋 |
価格 | ¥3,300(税込) |
限定数 | 購入ページでご確認ください |
サイズ | おおよそ W95mm×L185mm |
素材 | 和紙 |
支払方法 | 銀行振込・クレジットカード決済(PayPal) |
送料 | 385円(ネコポスでポストへお届けの場合) |
納期 | 1週間程度 |
備考 | この商品は返品不可とさせていただきます。 |
バイヤー | ヤナギサワ |
気持ちに合う形
わわわわわ、これだーっ!!
一目見て、ハッとさせられました。
そうなんだ。いつも困っていたんだ。
お祝いの気持ちを伝える大事な場面に
自分の気持ちにはどうにもそぐわないご祝儀袋の世界。
高価なモノを見れば、必要以上の派手な要素が盛り込まれ
安価なモノはというと、いささか気が引ける味気なさ。
もっと等身大で、自分らしく、でもとっておきの
大事な相手にそっと伝えたいお祝いの気持ち。
そして、その気持ちを包みたくなる適切な形。
こんなにも気分に合うモノが存在するのなら
これからは、もう何も心配することはない!
毎日考えることではないけれど、ずーっと気になっていた問題が、ものの見事に解決。晴れ晴れと解放された瞬間でした。
絶対に同じ思いをしている人がいるはず!
根拠もないまま確信できてしまったので
知らせたい思いでいっぱいです。
ご紹介するのは4種類。
「鯛」
とにもかくにもめでたい!気分そのまま、ご祝儀袋の上をシンプルに鯛が泳ぐ、このシリーズの象徴的な作品。お祝いの気持ちをただまっすぐに伝えたくなりました。鯛焼きにも似た、コミカルでふっくらかわいらしい姿形は、相手の笑顔がもうひとつ増えるかも。
「福助」
福々しいモチーフがたくさん詰め込まれてとびっきり楽しげ。福助を中心に、ときどきのぞくおかめさんや鯛、間を埋めるように細かなモチーフも飛び交い、お祭りムードに拍車がかかります。にぎやかなことが大好きな相手に贈ってみたい!
「松竹梅 唐草模様」
松・竹・梅それぞれのモチーフを、唐草模様に仕立て上げた珍しい図柄。柄の隆起の美しさ華やかさに、静かに熱く感動してしまいました。松竹梅の縁起のよさはもちろん、心使いが品よく伝えられそうなあたたかな雰囲気があります。
「格子」
複数の和柄が格子状に配置された、切替えの妙が印象的な大人っぽい仕上がり。年上の相手に使ってみたくなりました。和紙に浮かび上がる和柄の表情の豊かさは、そのまま布地に仕立て上げたくなるような風合いです。すっきり、そしていかにも上品。
いつも悩んでいたのは、結婚のお祝い。
ところが、出産や入学、新築・引越・米寿・お見舞い・餞別・御礼‥言われてみれば人生のいろいろな場面で出番がありました。
水引の選び方などは、地方や時代も関係して、お祝いの内容ごとにルールはいろいろあるみたいで。そのあたりは、場面に応じて調べる必要がありそうです。このご祝儀袋には、あわじ結びの水引2種(紅白・金銀)・中包み・短冊2枚がセットになっています。
「近々お祝いの場が控えている」という人に
間に合うことを切に願います!
和菓子から和菓紙に
ところで、気付いてもらえましたか?
和紙に浮き立つ独特の陰影をもったモチーフの謎。
一瞬でとりこになってしまったご祝儀袋としての感動とは別に、知るほどに興味深いもうひとつの魅力がありました。
なつかしく、あたたかで、なにやらおいしそうな風合いは、和菓子から和菓紙に変化して生き生きと蘇ったもの。
現れ出た全ての柄は、「和菓紙三昧」 というキーワードが示すように、和菓子に使われていた木型を和紙で丁寧に型取った跡。らくがん・干菓子・金華糖などの菓子木型、どうでしょ?結びつきました?
冠婚葬祭や年中行事での菓子づくりに使われてきた菓子木型は、江戸時代から受け継がれ現在は衰退モード。古くはお祝いの都度、その内容に応じた図柄を木型職人に特注し、それをもってお菓子をつくらせたというから、日本にはなんと粋な風習があったことか!職人は職人で、できあがりの和菓子を頭に描きながら、左右・凹凸逆の意匠を彫りこんでいくそうで、その技量たるや相当なもの!
上流階級で使われた豪華で手の込んだ菓子木型は、それこそ芸術品に値するようなものも存在しそうな気がします。一方で野菜や果物・魚介など、庶民の生活感あふれる菓子木型もたくさんあって。駄菓子感覚のものになってくると、拍子抜けするくらいの、くすっと笑えるモチーフやシュールな表現も。
かわいいのかこわいのかわからないキューピー
唐突すぎる魚の切り身!とか
いったいどんな需要でつくられたの?!
背景を想像するだけで楽しくておかしくて、木型の山に囲まれていると、あっという間に時間が過ぎてしまいます。
鯛や松竹梅・鶴亀といった縁起のよい図柄は、やっぱり圧倒的に数が多いので、比較する楽しさも覚えてしまいました。鯛ひとつとっても、大きさや姿のまるで違うものが山のようにあるので、時代や地域による特徴、そのお菓子がふるまわれる場面や職人の計らいを、読み取って比較してまた想像して。エンドレスに続く空想の旅。
同じ日本に生まれた、どこかの時代の誰かの手作業の跡は、近くて遠くて、じんわり感じとれるものもあって。
和菓子で人に喜ばれていた時代を経て、和紙に型取られた途端に、現代に生きるわたしを浮かれさせて。
木型職人もこんなことになるとは、想像もつかなかっただろうな。
自分がまだ生まれてもいない、どこかの時代の菓子木型と
絹の輝きと賞される無形文化財の西の内和紙と
このふたつを組み合わせて浮かび上がる新たな表現
日本の、3つの手仕事が絶妙な合わせ技を生んだ
なんとも魅力的な背景があるご祝儀袋だったこと。
知ってさらに心をもっていかれたのは、紛れもない事実です。
記憶を写しとる
記憶を写しとって
二次元から三次元に心理的にふくらませたい
和菓紙ってどうやって生まれたんだろう?
を解決すべくアトリエに伺った際に、創作をされている現代美術作家の永田哲也さんから聞いた印象的な言葉です。
その意味は言葉として理解するより、アトリエで目にしたもの、永田さんのこれまでの作品や活動を知ることで、じわじわ解凍されて体にすうっと入ってきました。
だって永田さん、ほんとうになんでも写しとりに行っている!
元旦に最初に日が当たる海岸の岩肌、河原に残っていた焚き火跡、工事現場のわだち、ショベルカーまでも!!
場所の記憶であり、同時に特定の時間の記憶を和紙に吸いとって、記憶のイメージを時間・空間を飛び越えて三次元で表現する。剥がした和紙を裏側から見てみると、普段は目にしない反転したネガの状態を見ることができ、実は反対側にも世界があることに気付くんだよ、と。
そうか。永田さんのなかでは菓子木型も記憶の採集のあくまで一対象。そこから自然と生まれた和菓紙なんだ。
アトリエで見せてもらった、永田さんが所蔵する果てしない数の木型はもちろん、各地の菓子店に協力を仰ぎ貴重な木型を借りて、記憶を写しとることもあるというパワフルな創作意欲。
最近は「日本の記憶」をテーマに、菓子木型を使った作品づくりに集中し、新しい世界観を精力的に表現されている永田さん。展示を拝見すると、もともとあった日本の文化を改めて誇らしく感じるのと同時に、掘り起こして形を変えて、いま楽しめる新しい表現への挑戦にワクワクを感じます。
創作を続けていくなかで、日本ではまだまだアートに対する理解が広がっていない現実に直面することが多く、日常でアートに触れる機会がとても大切だと思うようになった、と。和菓紙を使ったこのご祝儀袋も、その思いから生まれてきたシリーズ作品のひとつです。
型から和紙を外すときのパリっという音が、「吸い取った!」という快感に包まれる瞬間だと教えてくれた永田さん。
このご祝儀袋にも、新たにお祝いの記憶が重なって、受け取った相手の記憶紙になったら!密かに期待してしまいます。