大胆に蘇る
商品番号 | tk012203 |
商品名 | KOTTOU |
価格 | 梅可学金彩:¥55,650(税込) |
限定数 | 各1点 |
サイズ | 梅可学金彩:φ395mm×H55mm |
素材 | 磁器 |
支払方法 | 銀行振込・クレジットカード決済(PayPal) |
送料 | |
納期 | 3週間程度 |
備考 | この商品は返品不可とさせていただきます。 |
バイヤー | チバ |
痺れる感覚
目を奪われる。
まさにそんな言葉の通り。
一目見た瞬間に、目から飛び込んだ画像は、言葉に変わる直前でビリビリと振動して、そのまま脳へ。
ジワリと痺れる、ボクの脳ミソ。
目は確かに器の輪郭を捉えているのに、脳はどこに焦点を結んで良いのかと戸惑って...そんな、ちょっと不思議な感覚の中で、しばしこの心地良い痺れを愉しみました。
伝統的な絵柄の大きな皿に、侵食するように焼き付けられたグラフィカルなアートワーク。
意味も形も明快なこの2つが、混ざり合うでも溶け合うでもなく、まるで共振するかのように、そこに漂う。
そんな光景に誘われて、そっと、この皿に近づいてみたのです。
梅可学金彩
止まった時間
小さな奇跡が積み重なって生まれた、この器。
ベースになっている器は、有田焼の窯元から掘り出された、古い器です。
藍色の絵柄だけが描かれた器や、無地の器。
これらは何らかの理由で、いわゆる下絵の段階で止まってしまった器なのです。
上絵が施されることなく、まるで時が止まってしまったかのように残された器。そんなひっそりと眠っていた器を見つけ出して、新しい命を吹き込んだのが、この「KOTTOU」のシリーズです。
おそらく...
この器たちも、この上に金や赤で華やかな上絵が施され、有田焼もしくは伊万里焼と呼ばれる高級な伝統工芸品として、世に送り出されるはずだったのでしょう。
特に一時代の有田焼は、ヨーロッパで人気を博し、大量に輸出されていたようです。中にはゴールドイマリと呼ばれ、高い値で取引されていたものも多かったとか。
今回の大皿も、それを物語るかのように、背面には壁に掛けて飾るための穴が空けられています。きっとここに紐が通され、壁を彩るはずだったのでしょう。
しかし...
そんな華やかな時代も終わりを告げるときがやってきます。
墨絵花模様
タブー
まるで凍りついた時の中に取り残されたような、器たち。
そんな忘れ去られていた器を見つけ出し、そこにアートワークを施すことで、新しい命を与えたKOTTOU。
デザイナーによって奇跡的に発掘された何点かの器も、しかし、作られた当時のように同じものが何点もあるわけではなく、1点もしくはほんの数点があるのみだったそうです。
効率を省みることなく、そこに渾身のアートワークを施したKOTTOU。
この大胆な構図に、完全に心を射抜かれてしまったわけですが...
しかし、そもそも未完成だった器に、上絵を施し、世に出すこと自体が禁忌される行為です。しかも、そこに描かれるのは、本来の絵柄とは全く対極にあるような、現代の感覚で描かれたアートワーク。
それが許されない行為であることは、誰もが想像する通り。
いや、窯元の反発は、想像以上に厳しいものだったようです。
しかし、それが許され、今こうして新しい作品が生み出されているのは、デザイナーの有田焼に対する熱い思いと、それを現代の生活の中に蘇らせたいという強い使命感が、産地の人たちの心に響いたという証に他なりません。
困難を乗り越えて、新たに絵付けされ、再び窯へと入る器。
でも、ここにもまだ試練が待ち受けています。
長く放置されていた器は、その多くが再び焼かれることに耐えられず、割れてしまうのだとか。
そして、生き残った何割かだけが、作品として新しい命を手に入れることができるのです。
水玉高台鉢
2つの極
素晴らしい感性と、熱い思いで、忘れ去られていた器を全く新しい作品へと昇華させてしまったKOTTOUのシリーズ。
このKOTTOUを生み出したのは、先日紹介したCHOKUという、同じく有田焼のそば猪口を生み出した、amabroです。
> 「そばちょこからスタート!」
このamabroを運営しているのは、アーティストでありアートディレクターでもある村上周さん率いるAMDR。
広告やファッション、音楽の世界に作品を提供してきたAMDRが、自ら発信する形で、日々の生活を豊かにするためのプロダクト作りを新しくスタートさせたのが、このamabroのプロジェクトです。
広告などで培われた、時代の空気を的確に捉える感性と、兼ねてから胸に秘めていた日本の伝統の美に対する深い敬意。その2つの感覚に導かれるように訪ねたのが歴史ある産地、有田でした。
結果、生み出されたこのKOTTOUのシリーズは、単に表層的なデザイン手法で古い焼き物を再生させるのではなく、有田焼の伝統と、そして未来を、深く考え真正面から対峙したからこその、この大胆なまでのデザインで見事に新しい世界を作り上げています。
釉薬という薄い皮膜の上と下。
このわずかな層によって隔てられた空間は、同時に長い時間の隔たりをも意味しています。
しかし、そのどちらもが、時代の粋を極めようという熱を帯びながら対峙しているからこそ、決して交じり合うことのないこの2つ世界が1つの器の上で互いに共振し合い、全く新しい作品として成立しているのでしょう。
こうして、伝統の美が新しい形で蘇り、そして現代の生活を彩ることを目指して、amabroの活動は続きます。
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> 小さく美しく
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梅可学金彩の裏面
この穴が、おそらく海外向けのものだったろうと想像させます
墨絵花模様
こちらの穴は片方に亀裂があるのでご注意ください
水玉高台鉢の裏面