児島に住むある兄弟の物語
商品番号 | tk016902 |
商品名 | testis wall clock |
価格 | testis wall clock 4:¥78,000(税込) |
限定数 | 各1個 |
サイズ | testis wall clock 4:φ約380mm×D約120mm |
素材 | 木・鉄・真鍮・ガラス |
支払方法 | 銀行振込・クレジットカード決済(PayPal) |
送料 | |
納期 | 1週間程度 |
備考 | testis wall clock 4:赤塗装のあと、ウレタン塗装してます チクタクという音がします。人によっては不快と感じる人がいるぐらいの音なので予めご了承ください。 |
バイヤー | mikayama |
Womb
岡山県倉敷市児島にある古道具屋。名前は「Womb」。
酒屋さんで勤めていた西原誠さんという方が、約7 年前に一念発起して始めた古道具屋です。知識があるわけでもなく、お金があるわけでもなく始めました。
ただ、地元が児島。日本産ジーンズ発祥の地。歴史あるファッションの街って、単純に文化が根付いています。だって、ファッションの街だから。
その工場や倉庫から出てくる日本産の古道具のみを集めていきました。本当に約7 年間、仕入れは半径20キロぐらいのエリアのみから。
結果的にこの古道具屋は日本の古典的なそれでもなく、ヨーロッパやアメリカ等の外国から集めたそれでもなく、どこかに懐かしさはあるのだけど、すごく無国籍な古道具屋になりました。
実は、この店舗を構える数年前まで海沿いの昔のドライブインを借りて古道具屋兼カフェを営んでいました。そのお店も有名だったし、十分流行っているお店でした。
ただ、西原さんは納得していなかった。日和ってカフェをやっている自分が許せなかった。
あるとき、児島の商店街の元銀行の建物が空くという話を聞きました。もちろんとても大きな箱です。賃料ももちろん。
でも、飛びつきました。お店移転です。カフェは無くしました。児島で集めた古道具で埋め尽くしました。すごく強い、意思のある空間ができました。
testis
西原誠さんには洋行さんという弟さんがいます。洋行さんは昔プータローやってました。でも、誠さんが古道具屋を始めると聞き、一緒に始めることにしました。誠さんが主に買い付けを行うのですが、その中に壊れた時計がありました。大きさや形が違ういろいろな時計。昔懐かしいゼンマイ式です。
洋行さんは、特に技術があるわけでもなかったのですが、地元に時計を修理できるおっちゃんがいて、その人に習って(というか見よう見真似で)ゼンマイ式の時計の修理技術を学んでいきました。
といっても、すごく複雑なことをするわけでもなく、ずっと動かしていなくて埃がつまってしまったゼンマイを、丹念に掃除して油を差してあげて、また動くように復元してるだけです。文字盤が剥げてしまっているモノがあったので、文字盤は新たにスタンプで押してあげて、きれいに塗装してあげました。
こんな感じで古道具屋Wombからオリジナルプロダクトを生み出すブランドがtestisであり、その代表作が今回紹介するゼンマイ時計です。
ゼンマイ時計
この時計はチクタク鳴ります。
デジタル時計で慣れてる人には、多分うるさいほどチクタク音を立てながら時を刻みます。ゼンマイを2日に1回は巻いてあげなければいけないし、一生懸命メンテナンスしてあげても時間がずれるときにはずれます。
でも、このゼンマイ。通常は隠れているし、まったく意識もしてこなかったのですが、笑えるほどずっとチクタクチクタク。すごく有機的に動いているかわいいやつらでもあります。もう本当に見なきゃ伝わらないんだけど、一生懸命動いているんですよ。一つ一つの歯車が。もうその様は何に交換できるものでもなく、単純に居心地がよくて。西原さん曰く眺めているだけで酒が飲めるほど。
古道具なので同じモノはなかなか出てくることは無いし、加工方法も西原さんのテンションやオリジナルボディの状態で変わるので、結果的に世界に1つだけの時計です。多分、好きな人にはペットと遜色ないほど愛せると思います。
宿る意思
簡単に説明すると児島の古道具を集めた古道具屋さんだし、誤解を恐れずに言えば、その古時計をカスタムして修理して販売する時計屋さんです。
ただ、この兄弟が作り出した世界観はすごかった。
自分はいろいろな場所を見て回っている方だと思うし、それなりにいろいろな人に出会えてる方だとも思うけど、すごかった。意識的といったら意識的なんだけど、全うしただけといったらそれだけだし、無意識的ともいうことができる。でも、明らかに意思が宿っていた。
なんだろう。
こんなことに規定されるものでは全くないんだけど、街やその人口にも見合っていないし、やっていることにも見合っていないし、この兄弟の佇まいにも見合っていない。ただ、明らかにここで繰り広げられている世界観は収まっていない。この建物にも、児島という街にも、日本という国にも。
こんなことを思いながら話をしている最中にも、地元の解体屋のおっさんから、今日の現場でなんか面白そうなもの出てきたけど持っていくかい?みたいな電話がかかってきて。基本的にお店にお客さんが来てもいらっしゃいませとか言わないほど良くも悪くも無愛想な兄弟なのですが、妙に愛されているんですよね。こんな建物借りることができるのも、愛されているゆえだし。
本当に時々。
こういうモンスターに出会えるのが、この仕事をやっている楽しみなんだろな、と思えるちょっとした旅でした。
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