稀なる薄さ
商品番号 | tk025403 |
商品名 | FLOORWALL |
価格 | 【natural】 |
限定数 | - |
サイズ | ○-Circle |
素材 | モルタル |
支払方法 | 銀行振込・クレジットカード決済(PayPal) |
送料 | |
納期 | 3~4ヶ月程度 |
備考 | この商品は返品不可とさせていただきます。 |
バイヤー | チバ |
あるはずのないもの
初めての出会いは、半年ほど前。
その時の、興奮と驚きは、今も脳裏に焼き付いています。
本来、そこにそれは存在し得るはずがなく...
しかし、目の前にそれはある。
これは、いったい何だと言うのか?
ちょっと大げさかもしれません。
何故ならそれは、見た目にはただの薄いモルタルの板だったのだから。
この静かな陰影をたたえる薄い板状の物体は...
実は厚さ数ミリのモルタル。マットのように使えます。
モルタルなのにしなやかなので、わずか数ミリでも割れません。そして、薄いので壁などに貼って楽しむことも。
さらに驚くことに、曲げることができるのです。
2015年夏から、コースターにもぴったりな小さいサイズが登場。
モルタル
目の前にあったのは、厚さ数ミリのモルタルの板。
しかし驚くべきはその大きさで、幅が数十センチほどもあるその板が、そんな薄さでその場にあること自体が、目を疑う光景だったのです。
材料としてのモルタルについて言うならば、それは強く、そしてもろい性質も併せ持つ存在です。
工場の床などにも使われるモルタル。
ある程度の厚さがあり、下地が堅固な状態であれば、重量物を置くなど、押し潰そうとする力に対しては、かなりの耐力を持ちます。
しかし逆に、細い棒のようなものをモルタルで作ることを想像すれば分かるように、曲げる力や、引っ張る力に対してはとても弱い素材でもあるのです。
つまり、薄い板状にモルタルを成形することなど、不可能なはず。仮にできたとしても、持ち運んだり、移動しようとすれば、それはずぐに割れてしまうのです。
コースターサイズの「φ100」
上がnatural、下がsumi
どちらも個体差があります。
コースターサイズだけは、表面にコーティングをしていない素地仕上げなので、水滴が染み込みます。(Squareタイプは全サイズともコーティングをしていません。)
Squareはテーブルマットなどに良さそうです。
椅子などを置いて使っても割れることはありません。
秘密を練り込む
割れない秘密。
それは、モルタルの中に練り込まれた、特殊な繊維にあります。
そのままでは、ボロボロと崩れてしまうモルタルを、この繊維がつなぎ合わせ、割れを防いでいるのです。
いや、正確に言えば、割れはあります。
むしろ、この板全体に、細かいヒビ割れを入れる加工が、あらかじめ施されているのです。
だから、このFLOORWALLには、最初から表面にヒビが入っています。さらに言えば、使用に伴う経年変化により、ヒビは増えていくことになります。
そのヒビも含めた表情が、まさにこのモルタルという素材の持つ美しさのひとつです。
ただし、ヒビが入っても、それによってモルタルが破片となって欠落するようなことにはなりません。そうならないよう、つなぎ止める役割を果たしているのが、全体に練り込まれた繊維なのです。
そして驚くことに、FLOORWALLは、上の写真のように、ある程度の角度までであれば曲げることも可能なのです。
そのため、多少の凹凸がある床や、平らではない床でマットとして使っても、その形状に馴染むだけの柔軟性があるのです。
もちろん、購入後にあえて自分でヒビを増やして、表情を付けることも可能。自然に増えるヒビと合わせて、楽しむことができます。
そして、裏面には透明の合成ゴムをコーティング。設置面を痛めず、滑り止めとしての効果も持ちます。表面にも防塵と保護のためにクリアコーティングが施され、抜かりない状態でのお届けとなります。
○-Circle φ1200(natural)
○-Circle φ740
上から、natural、sumi
2020年、blueが仲間入り
普通のラグのように、床に敷いて上を歩くこともできます。
PULL + PUSH PRODUCTS.
もはや新素材と言っても過言ではないほど、驚くべき特性を秘めながら、静かで美しい表情をたたえるFLOORWALL。
実は、密買東京ではこれまでにも、このFLOORWALLの生みの親、PULL + PUSH PRODUCTS.(プルプッシュプロダクツ)の佐藤延弘さんによるプロダクトを紹介しています。
すでに見て驚かれた方も多いかもしれません。
PEと名付けられた、一連のプロダクト。
もし、まだ見ていない方は、以下のリンクからご確認を。
ここで作られているのは、このFLOORWALLとはある意味で対極とも言える、カラフルでケミカルな素材によるプロダクト。しかしながら、両者に通底する本質は、全く同じだと言うことができます。
それは、新しい素材を作り上げてしまう頭脳と、それをプロダクトへと昇華させる創造性、そして自らの手で作り上げる職人的な技術力。そのどれか1つが欠けても絶対に生まれ得ないプロダクトなのだと言う事です。
そしてその質感とデザインは、どちらも我々の偏執的な食指を捕らえて放さないということも。
それぞれに特異すぎる1点において結晶した、2つのプロダクト。
今回、度重なる分析と検証の上に作り上げられたのは、モルタルという素材の飾らず静かな美しさを、日常の空間に持ち込むプロダクトでした。
実は、このFLOORWALLとの最初の出会いは、2013年の終わりに開かれた、PULL + PUSH PRODUCTS.の個展でのこと。
そこには新しいプロダクトの原石たちがキラキラとひしめいていたのです。
どれも素材と向き合い、試作に次ぐ試作を重ねて生み出されるPULL + PUSH PRODUCTS.のプロダクト。一朝一夕にそれが世に出てくることはありませんが、未来を予感させるその光景には、期待せずにいられませんでした。
そんなPULL + PUSH PRODUCTS.と、佐藤延弘さんの活動はこちらで。無論、我々も引き続き注視を続けて参ります。
FLOORWALLと同じモルタルのシリーズには、ランプシェードもあります。こちらもぜひ。
こんな風にヒビが入っています。使いながらヒビを育てていくのも、醍醐味のひとつ。
ヒビの入り方も美しい。naturalタイプも、色の濃淡やテクスチャの入り方など、個体差があります。
コテを使った職人技で一点一点作り上げられていきます。