とどまる風船
| 商品番号 | tk026800 | 
| 商品名 | 風船の一輪挿  | 
| 価格 | 大(カラー) : ¥3,850  | 
| 限定数 | -  | 
| サイズ | 大 : w85mm×d80mm×h125mm  | 
| 素材 | 磁器  | 
| 支払方法 | 銀行振込・クレジットカード決済(PayPal)  | 
| 送料 | |
| 納期 | 1ヶ月程度  | 
| 備考 | この商品は返品不可とさせていただきます。  | 
| バイヤー | ヤナギサワ | 
縮まず、破れず
誰にとっても親しみあるものは、
一言の説明も要せず心にすっと入ってきちゃう。
風船もきっとそういうもののひとつで、
ほとんど瞬間的に楽しい印象で迎え入れられる、
憎まれようのないうらやましい存在です。
膨らんだり、萎んだり、変化に引き付けられて、
浮遊する明るい色に元気をもらうこともできて。
そんな風船を、瞬間の形で切り取って固めたら、
こんなことになっちゃいました!
もちろん、縮まず、破れず、へたりもせず、
どこかに飛んでいってしまう心配もありません。
とはいえ、パンパンにふくらんで口を閉じられ、
ふわり宙に浮くあの瞬間が見せ場だとするならば、
この風船は、なんとも中途半端な瞬間を
切り取ってしまったように思えます。
でも、実際に手に取ってよくよく観察すると、
かえってそれがよかったみたい!
ふくらみ始めたばかりの余力ある風船は、
まだゴムの厚みも十分、ぽってりとした質感が残っていて、
アンバランスに伸び始めたゴムがいびつにふくらんだり、
と、魅力的な表情を映し出しています。
色だってほら、パンパンにふくらんで透明感が増したら、
こんなに元気のいい色ではいられなかったかも。
「できたー!」ってときの、最初の興奮。
きっとたまらなかっただろうなぁ。

4タイプ× 6色の展開

大: たまねぎサイズ

中: レモンサイズ

小: 鶏卵サイズ

ひっこんでる: 小を指で挟んでつぶした形
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主役?脇役?
まわりの空気が少し透明感を増すような、
佇まいの心地よさに魅了されました。
単純にからっと元気いっぱいな感じだけじゃなく、
置かれるシチュエーションや見方によっては、
どこか物憂い雰囲気も感じられるのがいいところ。
ずっとそばで愛でられるうれしさと同時に、
すっと消えてなくなりそうな儚さもあります。
ゴムの粉がまとわりついていそうなマットな質感や、
つい息を吹き込みたくなる口の出来栄えは、
どこからどう見ても、やっぱり風船。
それでいて実は、磁器でできた一輪挿しなので、
ちょっとした場所をやさしく彩ってくれます。
オブジェ的な要素が強いので、
ともすれば、脇役になりきれずに、
花と一緒にうっかり主役を張ってしまったり。
どんな花でも似合う、とは言い切れない
個性がゆえの不器用さも愛嬌のうち。
今まで花を飾る習慣がなかった人でも、
一輪ならアレンジに悩む必要がないし、
とっかかりになるかわいさと手頃さも魅力です。
それに、万一花を飾らない時間のほうが長くても、
オブジェとしての実力を兼ね備えているからご安心を。
ぽんぽんといくつか並べて置いてみるだけで、
このページの1番上の写真みたいに、
ちょっと幻想的な光景を見せてくれると思います。
ピンとした緊張感のある空間でも、
力の抜けたナチュラルな空間でも意外と相性がよく
日差しを浴びると、より一層美しく輝いて見えます。
ふくらみかけのサイズは、なんとも説明しにくいので、
丸い部分を手に取ってみた印象を記しておくと、
大きいものから、たまねぎ→レモン→鶏卵くらいでしょうか。
4タイプ×6色の展開で、受注制作でお受けします。
あいにく、すぐには届けられないため、
少しばかり時間の余裕を見てご注文ください!

いびつなふくらみ方が愛らしい大サイズ(右)

サイズ違いの2つ並びは使い勝手がよく多用できそう。

青と水はわずかな色の違い。

このまま息を吹き込みたくなる絶妙な質感です。
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まさかの両思い
初めてこの風船を知ったのは、1年ほど前のこと。
沖縄の仕事から帰ってきたお馴染みの日野さんから、
こんなメールが届いたのが始まりでした。
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こんばんは。
先に書きました沖縄スタッフの阪田さんですが、
滞在中、ずーっと密買東京のことを話してました。
「密買東京は作る人間の心の支えです!」
と、言っておりました。
彼女はこんな作品を作っています。(写真添付)
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そんなことを言ってくれる奇特な人が沖縄にいたのか!
うれしさだけでなく、作品にも十分な魅力を感じて、
メールでやりとりを始めてから数ヶ月後、初の沖縄取材へ。
ようやく顔合わせをした阪田真梨子さんは、
およそ密買好きとは思えない、快活で笑顔のすてきな女性。
こんなにちゃんとした(風に見える)人が
本当に密買を好いてくれているのか自信が持てませんでした。
しかし、制作スペースのあるご自宅へ向かう道すがら、
「実物を見てイマイチだったら断ってもらって大丈夫なんで‥」
と、とにかく面白いくらいに恐縮しきりなのです。
「すいません、では正直に判断しちゃうので許してください‥」
とこちらもこちらで、恐縮しきりの牽制し合いです。
阪田さんのご自宅に伺うと、キッチンの片隅に見つけたのは、
カーテンで仕切られた3帖ほどの小さなスペース。
仕事をされながら、毎日少しずつ作業を進めているという場で、
初めて会う阪田さんのヒントを嗅ぎ取ろうと必死になる中、
写真でしか見たことのない風船がごろごろしているのを発見。
ん、間違いない!
ろくろを使った制作はあまり得意ではなくて、
型を使って生み出す作品を模索している中、
風船の作品を思いついたという阪田さん。
とはいえ、理想の形にふくらむ風船はどれなのか?
形が安定しない風船で思うような型を取るには?
など、完成までにはいろいろな試行錯誤があったそう。
本物顔負けの質感は、釉薬を使わずに焼き締めた後、
細かなサンドペーパーを使って水の中で必死に研ぎ、
表面を滑らかにしてようやく出てくるもの。
地味に手間のかかる作業がいっぱいです。
釉薬を使っていない=表面に艶のある塗膜がないので、
少し汚れがつきやすく、こまめな掃除がおすすめとのこと。
そして、小さなものほど倒れやすいので、
風の当たる窓際など、置き場所には注意が必要です。
さて、ここからは余談です。
取材が終わってお互いの牽制と緊張が解けてから、
この旅の大収穫、驚きの事実を知ることになりました。
実は阪田さん、誰に頼まれたわけでもないのに、
沖縄の地で、まるで密買東京の使者のように、
大事な人たちにだけ少しずつ
密買の布教活動(?)をしてくれていたのです。
一方で、布教された方々がみな口を揃えて言うのは、
「決して無闇やたらに広めないよう」言い渡されたと。
そう、そこが重要なのー。
我々の思いをこわいくらいに共有してくれている
まさかまさかの完璧な密買思想をもった阪田さん。
晴れて沖縄にてお見合い成立。
感動が過ぎて、心の中で男泣きに泣いた旅でした。

繊細なつくりなので失敗作が出てしまうことも。

緑色は型取りに使った本物のゴム風船です。

形を考えるのが好きな阪田さん。
思い付いたらネタ帳代わりに油粘土で試作してみるそう。

「人形町せとものまつり」のTシャツセレクトがサイコーでした。