風景のあるボタン
商品番号 | tk028503 |
商品名 | mizum工房のボタン |
価格 | ¥432から¥648(税込) |
限定数 | 販売終了 b> |
サイズ | 商品一覧表でご確認いただけます。 |
素材 | 樹脂、植物など |
支払方法 | 銀行振込・クレジットカード決済(PayPal) |
送料 | 164円(DM便でポストへお届けの場合) |
納期 | 1週間程度 |
備考 | この商品は返品不可とさせていただきます。 |
バイヤー | チバ |
手の中の風景
樹脂の中に封じ込められていたのは、みずみずしく、繊細な感性で切り取られた、小さな世界でした。
思わず手に取りたくなる鮮やかな色彩や、素材がひしめくように集まる、楽しげな雰囲気。
一つとして同じもののない、かわいい作品たちに魅せられて、次々と手にしては、その一つひとつに見入ってしまいました。
手の中で転がしながらのぞき込めば、そこには樹脂に封じ込められた小さな風景が。
スケールの感覚を忘れ、その世界の中を浮遊しているような気分を楽しんでしまいます。
わずか数センチの樹脂に封じ込められた風景。
全商品の一覧はこちらから。> 商品一覧表
最初は、織物の作家をされている奥さんからのリクエストで。端切れや糸を入れた作品でした。どこか細胞を思わせるような雰囲気もあります。写真では分からないですが、細かい泡が入っているところも、この小さなかたまりの中に奥行きを感じさせるポイントになっています。
これも初期の作品。透明と不透明の樹脂で作られています。
ハーブなど植物の葉や種が入った作品。
糸と泡、透明と半透明の組み合わせで、面白い表情が生まれています。
切り取られた時間
この小さな樹脂の粒は、ボタンです。
透明だったり、半透明だったりするものがほとんどで、中が透けるものには、植物の種や、糸、金属のかけらなど、細かなものたちが浮かぶように封入されています。
とても小さなかたまりですが、そのわずかな奥行きの中に素材が重なりあい、風景が立ちあがるのです。
それはある瞬間が切り取られ、止まったような風景。
でも、それ眺めていると風や音を感じたり、あるものには匂いや温度を感じるような気がして、不思議な感覚にとらわれます。
作品には、いろいろなところから集めたものたちが入れられていて、色や素材、形まで実にさまざま。
どこかロマンチックな雰囲気でありながら、とても自由気ままで奔放な印象です。
そして何よりも、服を作るときにつけるかわいらしいボタンなので、きっと女性が作っているのだろうと...
勝手に想像をしていました。
ハーブなどの植物が入ったシリーズ。色や形もさまざま。一つとして同じものはありません。
糸や端切れを封入したシリーズ。
叶わぬ願い
だから、とてもビックリしました。
このボタンを作っているのが男性だと知ったときは。
しかも自分よりも年配の方だとは、思いもよらず。
さらに、大柄でとても体格が良いのだと教えてもらったのは、そのまた後日のことでした。
いったいどんな人なのか?
気になって、気になって、会いに行くお願いをしたのです。
ただ...残念なことに、それは叶いませんでした。
いよいよ会いに行こうと思っていたある日、このボタンの作家である水野正博さんが亡くなられたという連絡を、奥さんの雅世さんからいただいたのです。
発泡する樹脂で作られたというこのシリーズは、表面にも泡が現れてザラっとした質感。中には糸が入っています。
樹脂の色もいい表情を見せています。
風景の理由
実は、水野さんは大きな病気をしてしまい、かなり前から家で療養をされていました。
むしろ、仕事をセーブして家にいるようになったことが、結果としてボタン作りを始めることにもつながるのですが。
もともとは家業であるプラスチック製造の仕事をされていた水野さん。工場を経営されていて、大手電機メーカーの部品加工や、プラスチックシートの製造をしていたそうです。
ボタン作りのきっかけは、奥さんからのリクエスト。雅世さんは「さをり織り」という手織りの作家をされていて、作品に合うボタンを作ってほしいとお願いしたのだとか。それに応えて、制作が始まったそうです。
最初は、手織りの布に合わせて端切れや糸を入れていましたが、ある日、台所で見つけたゴマを入れてみたのをきっかけに、乾燥したものであれば何でも入れられることを発見。ハーブなど植物の種や葉が入った作品も、たくさん作られました。
仕事でプラスチックの製造をしていたこともあって、樹脂の扱いはお手の物。ただし、中にものを入れながら作るので、固まるまでの時間などを調整するために、配合を変えながら作っていたそうで、それも作品のバラエティの多さにつながっているようです。
ひとことで樹脂といっても、ちょっと面白い質感のものがあったり、触り心地が違うものがあったり。中身や色以外の部分も見所です。
作家の水野さんは、病気のために思うように外に出ることができなかったのだとか。もしかしたら、旅に出て思いがけない風景に出会うような楽しみを、この樹脂に封じ込められた風景との出会いに感じていたのかなと、たくさんの作品たちを眺めながら思いました。
そんな小さな世界を、楽しんでいただけたらうれしいです。
シンプルに色だけで表現されたものも、奥行きを感じます。
かなり初期の作品も発見されました。
ボタンの穴は、上の2つのように後ろに通す部分が付けられたタイプと、下の2つのように直接穴が空いたタイプがあります。
作家の水野正博さん。体が大きくて、車やバイク、アンティーク、プラモデルなどが好きだったそうですが、猫を愛し、かわいいものも好きだったそうです。