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逆転するデザイン

商品番号tk028803
商品名

bookmark light

価格

¥1,760(税込)

限定数

サイズ

本体:180mmx35mm
パッケージ:300mm×150mm

素材

PET樹脂、銀ナノインク、LED

支払方法

銀行振込・クレジットカード決済(PayPal)

送料

167円(DM便でポストへお届けの場合)
宅急便の場合はこちら >

納期

1週間程度

備考

この商品は返品不可とさせていただきます。
写真の色は実物と異なる場合があります。

バイヤーチバ

ちょっと静岡まで

これまでも、何度かプロダクトを紹介している「共栄デザイン」。

デザイナーの岡本光市さんは、いつも気になっている存在のひとりです。

ここ数年の岡本さんは、アーティストとしての活動にシフトしていたような印象。インスタレーションを表現手法にすることが多いので、なかなか商品として紹介する機会もなく、拠点が静岡ということもあって、会えずにいたのですが、先日久しぶりに岡本さんのアトリエまで小旅行をしてきました。

きっかけは、この「bookmark light」というプロダクト。でも、どちらかというと岡本さんに会って、最近どんなことを考えているのかとか、ちょっと話がしたかった、というのが本当の目的だったのかもしれません。

というより、同じ空気をちょっと吸ってきたかった、という感じかも。

bookmark light

フィルムに特殊なインクで回路がプリントされていて、リチウムコイン電池(ボタン電池)を挟むことで、電気が流れてLEDに明かりがつきます。読書灯に、手元の明かりに。

普段は、伸ばした状態で本に挟み、栞として。

透明なフィルムに、回路とLED、そして糸だけのミニマムなつくり。


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デザイン、音楽、アート

岡本さんとは何者なのか。
それを特定するのは、なかなか難しく。

デザイナーとして、革新的なプロダクトの数々を生み出している岡本さんですが、実はデザインの教育を受けたことはなく、その創作活動は音楽制作から始まっています。

個人名義では、アート作品も数多く発表。デザインにおいても、アートにおいても、極めてシンプルな方法を用いながら、思いがけない方向から本質に迫るような作風に特徴があるといえるのかもしれません。

特にアート作品では、狂気すら感じるほど、ミニマルさと圧倒的な数で表現されるものが多くて、やられることしばしば。

例えば近作では、溶かしたハンダをひたすら垂らし続けて巨大な一枚の板にした、「form of light force transmission」。その板に電極をつなぎ、電球を取り付けることで明かりが灯ります。

ハンダの滴が無数に集まってできた平面は、メタリックな抽象画のようで、迫力がありますが、電球を灯すという目的から見れば、単に電源ケーブルが巨大化したものとも考えられます。しかもむき出しなので、感電注意!

「危ないから、なかなか展示してくれるところがなくて...」と嘆く岡本さん。ま、そりゃそうですね。

同じようなアプローチの作品に、「light of thought」があって、これは一見すると脳のイラストのように見えますが、脳のヒダを表わす曲がりくねった線が、全てハンダの粒の連なりで描かれています。

これも一粒一粒作り、つなげていく作業を考えると気が遠くなりますが、起こる現象は先ほどと同じで、電気が通るだけと至ってシンプル。脳の中心にある小さなLEDがひとつ、かすかに灯ります。


「form of light force transmission」2013
溶かしたハンダをひたすら垂らし、滴をつなげて一枚の大きな板にした作品。電極をつなぎ、電球を取り付けることで明かりが灯ります。

「light of thought」2013
ハンダゴテで溶かしたハンダを、延々とつなげ、脳の形を表現した作品。これも電源がつながれ、真ん中にある小さなLEDが灯ります。

「light of thought」の制作動画


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構造の反転

そんな作品の数々を発想するプロセスから生まれたのが、今回の商品「bookmark light」です。

実は、上で紹介したふたつのアート作品では、どちらも圧倒的な手数や存在感と、そこで得られる現象の単純さ、というギャップに目が向いてしまうのですが、もうひとつ、概念の反転ともいえる、ある共通項があったのです。

それは、通常隠して見えなくする構造や仕組み自体を作品としているということ。

光源を点灯させるということを目的にするのであれば、通常は電気を供給するためのケーブルなどをうまく隠し、きれいに収めることに心血を注ぎます。

でも、これらの作品ではその構造自体を見せることが作品であり、逆にそれが誇張されるかのように、存在を主張しています。

同じく近作である「shape of electric transmission」でも、金属の塊でできた積み木状のオブジェを組み合わせて、それを導線として電球に明かりをつけています。

そして電気以外でも、その考えは試されています。

「magnetic field record」は、回転するオブジェから滴る墨汁が、地球の磁力と重力によって生じる軌跡の変化を描き出す作品。

「re rain」は、傘を打つ雨音を採取した音源が、傘自体をスピーカーにして再生されるという作品。

どちらも、私たちが生きているこの世界の根本となっている、重力や、音、環境やその循環といった、普段当たり前で意識から排除されているような構造を、表現自体の対象としています。


「shape of electric transmission」2015
大きな積み木のような金属の塊。それを組み合わせることで、電球に電気が送られて明かりが灯る。これも機能で見るとひとつの単純な回路。

「re rain」2016
傘に当たる雨の音をフィールドレコーディング。傘をスピーカーにして、その音源を再生するというインスタレーション。

「magnetic field record」2013
回転するオブジェから滴る墨汁。回転は重力によって徐々に軌道を変え、その変化が墨汁によって記録されます。


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bookmark lightの構造

このbookmark lightも、持っている機能としては、電池でLEDを発光させるというシンプルなものだけです。

あ、あと栞。

そしてデザインも明快。透明なシートに電気回路がプリントされている。それだけ。あとは小さなLEDがふたつと、栞用の糸がついています。

つまり作品と同じく、プロダクトデザインとして現れてくるのは、通電のための回路自体で、通常それを隠すことに向けられるデザインが、ここでは反転されている、という構造になっています。

ちなみに補足しておくと、回路はインク自体に導電性を持たせ、インクジェット印刷で回路をプリントできるという、特殊技術によって作られています。

これは東京大学発のベンチャーAgICが開発した銀ナノインクという素材で、以前からあった同種のものと比べて導電性能が飛躍的に向上しているのだとか。

さらに、偶然にもこのプロダクトを作ろうとしたタイミングで、ベースとなる特殊透明フィルムが開発・発表されたことで、このbookmark lightが商品化できたそうです。

 
密買東京では、これまでにも共栄デザインの商品をいくつか紹介してきています。それも合わせて、ぜひ。他のアート作品についても、商品ページ内でいくつか紹介しています。

> 静かな狂気
> 機能の形
> 発明的かも?
> 発明は続く


bookmark lightは「German Design Award 2017」のExcellent Product Design部門でのSpecial Mention受賞が決まったそうです。

パッケージもミニマム