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曲げない男

商品番号tk020102
商品名

fin vase

価格

fin vase (S):¥12,000(税込)
fin vase (M):¥28,000(税込)
fin vase (L):¥38,000(税込)

限定数

-

サイズ

fin vase (S):φ100mm×H100mm
fin vase (M):φ200mm×H180mm
fin vase (L):φ240mm×H220mm

素材

磁器

支払方法

先払い
銀行振込・クレジットカード決済(PayPal)

送料

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納期

1ヶ月程度

備考

この商品は返品不可とさせていただきます。
写真の色は実物と異なる場合があります。

バイヤーmikayama

飛松さんの仕事

飛松さんはもちろん飛松灯器という名前で自分の作品を作っているのですが、そのかたわらで草月のカルチャースクールで陶磁器の作り方を生徒さんに教えていたりします。別に型物にこだわらずいろいろなやり方の。

もともとは美大を出て、弟子入りというかアシスタントに入った樋口健彦さんの紹介だったそうです。この作家さんは現代アートと工芸の間のような作品を作る方で、前回書いた通りもともとは現代アート好きからスタートしている飛松さんがこの方のところにアシスタントで入 るのはすごく納得がいくことで。だけど、やっぱり生活はきつくて。その時に紹介してもらったのがこの仕事でした。つまり、先生始めた当時は飛松さんもいけばなのことをあまり知らなくて。でも、草月自体は勅使河原宏が作った草月アートセンターのストーリーの中で当然知っていて。一つのあこがれの場所だったこともあって、なんだかんだと先生を8年続けています。

fin vase (S):¥12,000(税込)

fin vase (M):¥28,000(税込)

内側に壁面が巻き込んでます

ころころ


dot_line.gif

花と花器

当然、草月の傍らで陶磁の先生をやっているのでいけばなのこともだんだん分かるようになってきます。あ。ちょっと語弊がありました。いけばな自体が分かるという意味ではなく、自分の専門分野である陶磁器といけばなの関係について分かるようになってきたんです。

ただ、その世界というのは当たり前ながらいけばなが主役で花器は脇役。例えば作品撮りするときに自分の花器で作品を活けてもらったとしても、名前として出るのは華道家の方で。ファッション写真のようにモデル、スタイリスト、メイク、、、果ては服のメーカーまで。みたいな写真にはならないんですね。明らかに従属関係がある。
その当時すごくとんがっていた飛松さん(今でも十分とんがっていますが、、)はこの関係を「喰われる」と表現していましたが、そんなこともあって距離を置いてきたんです。

でも、その距離は置くといっても働き場所の関係もあってすごく近い。同年代の華道家と友達になることもあって。2年前にこんな友達関係の中で共同の展覧会を開くことになります。
そして、この花器はその展覧会をきっかけに作られたものでした。


よく見ると底がないのが分かります
花:小野寺 衆 写真:成田小夜子

そんな2年前の展示会の風景
花:曽我部 翔 写真:成田小夜子

こんな花器も作りました

活けるとこんな感じ
花:曽我部 翔 写真:成田小夜子


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反省する

その展覧会で飛松さんが心がけた(というより、そういうアプローチしかできなかったという表現の方が正しいような気がしますが)ことは「花と対等の関係にある花器」。展示作品の一部の写真を左に載せておきますが、通常のいわゆる活けやすい花器ではなくてすごく挑戦的で、活けれるもんなら活けてみろ、的なマインドの元に制作されています。

ここからがちょっとかわいい話で。要は飛松さんはその当時のことを割と反省しているんですね。大人げなかったなと。確かに共同の展覧会なんだから、花と花器 が両立する見せ方を模索するというやり方は正しいのですが、あくまで花器は器として、ということも分かりはじめてきた。
でも、それ以降いざそういう器のでかい活けやすい花器を作ろうとしても手が動かない。困ったな、と。そこで、その展覧会で作成したまだ花器といえそうな作品をより使いやすい形でブラッシュアップして、今回のような売れる作品となった次第です。

といっても、なにがどう変わったかという話ですが。。
まず底ができています。(前回は球形でした。転がる。。)通常の場所でも置けるようになっています。本当に怖いですよね、飛松さん。
さらに、すごく分かりづらかったりするので写真で確認してほしいのですが、この花器の右半身と左半身は凹凸の作り方が違います。一面は丸みを帯びていて、一面は角ばっている。といっても、言葉から受けるイメージよりはずっと微々たる差ですが。

なので、活ける際に花器を右に向けるか左に向けるかで表情がかなり変わります。一粒で二度美味しい的なアイディアです。もちろん中途半端な向きを向けると今度は影のでき方に違和感が生まれるので、それはそれで面白い使い方もできると思います。


生まれたて

4型の一体成型です

そーと取り出します

こちらは乾燥させたもの


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見当違いかどうかはまだ・・・

つまりこの作品は、前回のすごくとんがっていた時期から一歩使いやすい側に歩みを進めた(つもりの)作品となっています。なにがつもりかというと、別にいろいろな方に感想を聞いたり、アドバイスを求めたりした訳ではないんですね。なんとなく歩みを進めてみた、というだけでして。

実はこの感じ、僕はすごく共感できるんです。
一応、人見知りであることを僕は自負しているのですが、そういう人間がコミュニケーションを取ろうとするとき地雷というか目印になるものを、会話の中でその人と自分の間に置いてきたりするんです。それで人と自分の距離が今どんなもんかを測ろうとしたりする。僕の場合、その目印みたいなものをずけずけと人の近く まで入っていってものすごく相手側に置いてきたりするものだから、人によっては図々しいやつだと思われていると思いますが、それも含めて人見知りだったりするんです。まあこれは余談で。

こんな位置づけで作られている作品なので、花器としての使いやすさ、という意味ではもしかしたら落第な作品かもしれません。
でも。逆に言うと花器単体でも成立できる、という強烈な自負の中で生まれている作品なので、僕みたいないけばなに素人の人間が花を摘んできて、この花器に挿したとしても意外に成立してしまう不思議な花器だったりもします。

まあ、この先のことは僕みたいな素人が語ってもあまり説得力がないので。
僕は単純にこの作品面白いなって思ったら、飛松さんだからかもしれませんがやっぱり変なこと考えてたな、ということに妙にご満悦なだけだったりするんです。

飛松さんのfinシリーズに関してはこちらをご覧ください。
> 型物への挑戦

飛松さんのdrapeシリーズに関してはこちらをご覧ください。
> 計算ずくの不安定


SML大きさを比較すると

真ん中から凹凸の作られ方が変わっているの分かりますか?

もちろんMサイズも

そんな不思議な花器です
花:小野寺 衆