残された美しさ
商品番号 | tk022003 |
商品名 | BONE LASER KNIT CARDIGAN |
価格 | BONE LASER KNIT CARDIGAN: |
限定数 | 購入ページにてご確認ください。 |
サイズ | > サイズ表 |
素材 | BONE LASER KNIT CARDIGAN: |
支払方法 | 銀行振込・クレジットカード決済(PayPal) |
送料 | 無料 |
納期 | 2013年2月頃 |
備考 | この商品は返品不可とさせていただきます。 |
バイヤー | チバ |
貫かれた強さ
もはや服ではないのか...
「服じゃなくて、服の骨ですから。」
さらりとそう言い放つ森永さんの言葉に、突き抜けた強さを感じた今シーズン。
それはある意味では極論だとしても...
その言葉の前に、もはや頷くしかないほどの強度で表現された、今回のコレクションでした。
そして、それが「服」として美しい存在であることもまた、デザイナー森永邦彦さんの言葉に一層の説得力を感じさせるのです。
そんな強さと美しさをあわせ持つ、ANREALAGE(アンリアレイジ)の2013 S/Sコレクション「BONE」を紹介します。
服の骨とは?
「皮を剥がし、肉を削ぐ。」
そんな言葉で語られるテーマ「BONE」。
それは、森永さんの手によって解剖的に、また一方では建築的に進められた服作りを表わしています。
BONEとは骨。
つまり「かたちの骨」が今回掲げられたテーマです。
服の形を支える骨。それがあるとするならば、いったいどんなものなのだろうか?
当然ながら、一部の特殊なものを除いて、服に骨はありません。
シャツやジャケット、コートなど、多くの服は布という面を縫い合わせて作られ、そこに骨という要素は見られないのが普通です。
でも一方で、例えばその面というものを分解して考えるなら、それは概念上では、線の集合体と言える存在。
ならば、ある面の個性を表現するような、必要最小限の線というものが存在するのではないか?
これが、今回の服作りで考えられた「かたちの骨」なのです。
そうして、服の形から極限まで要素を削ぎ落とし、服という存在を解体・解剖することで、今回のコレクションの服作りがスタートします。
服の形を支えるもの
例えば、BONE FRAME RIBBON TOPS。
大きなリボンが胸にあしらわれたブラウスの骨。
ここで骨になる前の、元の服の立体を想像するとき、それを骨、すなわち線の材料で表現するのに、一番単純な方法は、このブラウスを網目で作ること。網目状の線で服の立体をなぞって、形を作ることかもしれません。
良くCG映像などで見る、ワイヤーフレームと呼ばれる、網目で作られた立体がそれです。
でも、森永さんが選んだ方法は違いました。
それはなぜか?
1つは、それが必要最小限の線だとは言えないということ、でしょう。つまり、肉を完全に削ぎ落としたと言える状態ではないということ。
そして2つめは、リボン、襟、ボタン、フリルなど、様々な記号や要素によって形作られた元の服を支える骨として、それが最適なものではないからです。
元になっている服。それは単に「身にまとう布」だったわけではなく、きっとリボンやフリルがついた可愛らしい服だったはず。そして逆に、可愛らしさという記号こそ、その服がこの世界に存在する意味であり、服の存在を支えていたのだ、とも言えるのかもしれません。
生地の柄や、編み目などもまたしかり。
それは、服自体の存在と切り離すことのできない、根本的な要素です。
そんな記号や意味など、服の存在を支える構造を掘り出し、それを露にしながら、残りの肉を徹底的に削ぎ落とす、という作業が行なわれていきます。
それが今回行なわれた解剖的な形の探求作業です。
一方で、肉を削ぎ落とされた線は、立体としての支えを失い、そのままでは形が崩れてしまいます。
そんな脆い線が立体になるように、必要最小限の骨を足して支えてやる、という建築的な作業が、今回の服作りのもう1つの作業。
そうして現れたのが今回の服。繊細な線によるパターンで構成された、この服なのです。
残されたのは
このようにして抽出された形の骨。
それは、形や意味において元の服を明確に指し示しながらも、それとは全く別の存在として立ち現れる服です。
面を剥ぎ取られ、無駄な要素を削がれて、骨だけになった服。
そこにあるのは、元の服にあった機能などをも削がれてしまった、服の骨。しかし同時に、それは元の服には無かった純粋で鮮烈な強度を手に入れた形でもあります。
全てを剥がれ、削ぎ取られた服の骨。
それでもなお、それは服であることを止めることはなく、むしろ元の服にはない美しい姿をそこに現すのです。
そんなメッセージを感じた今回のコレクション。
常に新しい服を求めて、その形の意味を問い直し、作られる過程を再構築し、時に新しい技術にも積極的に食指を伸ばしてきたANREALAGE。
毎シーズン新しい方法を探究しながらも、同じ方法は2度と使わないという信念を貫いてきたブランドです。
とうとう20回目のコレクションを迎えるに至った今回、20の点をひとつひとつ打ち込むことで確立してきたANREALAGEの世界は、もはや不動のものになったという印象すらあり。
でも、森永さんの頭の中では、これまでのANREALAGEのイメージを覆すような新しい方向の服作りが、すでにその象を結び始めているようです。
それがこの世界に現れるのは、次のコレクションなのか、あるいはまた別のタイミングか。
いずれにしても、近いうちその衝撃の瞬間に立ち会うことになるのは間違いなさそうです。
そんなANREALAGEのこれまでの作品の数々は、こちらから。
> ボタンでできた服!?
> 乱れ咲き
> ○ △ □ ?
> 凹 凸
> シルエット
> ちょうど良い服
> 見えないカタチ
> 保留される形
> 自立する服
> 時の断片をまとう服
> リペア魂 × ANREALAGE!!
> 昼の花/夜の花
ANREALAGEのホームページでは、コレクションの他の作品も公開されています。