都市型迷彩2017
商品番号 | tk029603 |
商品名 | 都市型迷彩 |
価格 | C-01:¥13,200 |
限定数 | - |
サイズ | C-01: |
素材 | 革、他 |
支払方法 | 銀行振込・クレジットカード決済(PayPal) |
送料 | カガリユウスケの商品を¥10,000以上ご購入いただいた場合は無料 |
納期 | 2 - 3ヶ月程度 |
備考 | ・受注制作にてお作りします。そのため仕上がりの状態についてはお選びいただくことができず、作家にお任せいただく形でご注文いただきます。 |
バイヤー | チバ |
100年からの出発
2011年に産声を上げたこのシリーズ。
最初はアーティストでありイラストレーターでもある秋葉舞子さんと、カガリユウスケの共作としてスタートします。
「100年の壁」と名付けられ、制作が始まったこのシリーズは、カガリくんの「WALLシリーズ」に、秋葉さんがウェザリングを施すという形で作られました。
その名前が表わす通り、どこかSF的で、退廃的、そして静かな美しさをたたえた世界。一目見て心奪われたのを、今も鮮明に思い出します。
しかし完璧な共犯関係に思えた二人でしたが、2013年に秋葉さんが作家活動を休止。わずか2年でその関係に幕を閉じることになるのです。
w17-02
持った時の状態は、こちらのページで確認できます
> 長い旅 - 100年の壁 -
上:C-04/下:C-01
どちらも名刺入れですが、C-04はマチ付きのタイプです。写真は開いた時の状態
C-01の形状は、こちらのページで確認できます
> 外壁を携えて - 100年の壁 -
継承と再出発
秋葉さんの活動休止によって途絶えるかに思えた、このシリーズ。
しかしカガリくんは、思わぬ行動に出ます。なんと秋葉さんに弟子入り。ウェザリングの技を受け継ぐという道を選ぶのです。
しかしそれは新しい世界への扉であると同時に、長い旅への出発点でもありました。
一見すると完全にシンクロしているかのような、二人の共作関係。でもそれが似て非なるものの融合だったということに、カガリくんは気付かされることになるのです。
ウェザリングをかける前のベースになる、カガリくんのWALLシリーズ。
革に建材のパテを塗り込め、“壁化”させることで生み出されるカバンは、日々持ち歩くことにより、見る間に様相を変えていきます。まるでそこに時空のズレでも存在するかのように、周囲とは異なる速度で、急速に経年変化するその姿。
実は街で古い壁を撮影して回るほど、“壁マニア”でもあるカガリくんは、自らが生み出した「壁」が、使用によって変化していくその過程こそ、WALLシリーズの醍醐味だと位置づけています。
片や秋葉さんのウェザリングは、まるで魔法のように、カガリくんの壁を100年後の世界へと瞬間移動させてしまいます。
それはイラストレーターでもある秋葉さんの画力の成せる業。ハッとするほどのリアリティに裏打ちされたファンタジーが、見る者を時空のかなたへといざなうのです。
封筒型の財布2タイプ
上がmw-01「封筒型小銭入れ」
下がmw-02「封筒型長財布」
形状は、こちらのページで確認できます
> 外壁を携えて
上がHBC「ブックカバー」
下がK-01「キーケース」。開けたときの形状は一番下の写真(色違いのタイプの写真です)
HBCの形状は、こちらのページで確認できます
> 外壁を携えて
空想と現実
では二人の間にあった根源的な違いとは何か?
弟子入りから数年を経た今、改めてそれが浮き彫りになります。と同時に、「都市型迷彩」と名を変えて引き継がれたこのシリーズが、にわかにその魅力を放ち始めた...ように、ボクの目には映ったのです。
それこそが今回改めてこの都市型迷彩を紹介しようと思い立った理由でもあります。
ウェザリングとは、作為的に“汚し”を施すことで、時間の経過を擬似的に表現する手法。
アーティストとして、自在に表現する力を持つ秋葉さんは、描くようにウェザリングを施し、まさに絵画のように、そこに異世界を出現させてしまいます。
一方でカガリくんの仕事は、実際の壁がさらされる過酷な環境をシミュレーションするかのように、そこに起こる変化を積み重ねていく、ストイックな作業。
完成形をイメージしてそれを目指すのではなく、壁が受けるであろう自然的・人工的負荷を、自らの手で再現し、自分自身もそこで起こる変化の目撃者であろうとするような行為です。
画家と、研究者。
そんな違いが、この二人の間にはあるのです。
技法の確立
そんなカガリくんのウェザリング作業を実際に確認すべく、今回はアトリエに潜入して制作現場に密着。この都市型迷彩が生み出される工程を取材してきました。
実際にカガリくんの作業を見ていくと、そこには二人の違いが鮮明に浮かび上がってきます。
中でも最も驚くのは、制作過程が大きく二つに分かれているところ。
実はこのシリーズは、そのほとんどについて最初にアシスタントが一度ウェザリングをかけます。それは何も知らずに見れば、完成形といわれても納得するであろうレベルの仕上がり。
しかしそれを取り上げたカガリくんは、おもむろにそのウェザリングを落とし始めるのです。
それは全て消えてしまうのではと思うほど、念入りにかき取ってしまうこともあれば、元のウェザリングを手掛かりに作業を進めていくこともあり、程度こそ様々。しかしこの作業は必ず行うのだといいます。
ではなぜ二度手間を承知で、分業をするのか。それはウェザリングの結果を客観的に見て、作為的な手業の痕跡を取り除いていくためです。
カガリくんにとってウェザリングとは、屋外環境にさらされる実際の壁に起こる変化を、擬似的に発生させること。
それはどこかにある具体的な壁を写実的にまねることではなく、かといって空想上の壁を叙情的に描くことでもありません。
カガリくんがこれまでに見てきた数え切れないほどの壁。それは鑑賞の対象であると同時に、彼にとっては研究・分析の対象でもあります。
そこに生まれた静かで退廃的で、そして絵画的な美しさを愛でながらも、それを現象として分析し、その発生のパターンを考察・蓄積し、データベース化しているのです。
それはまるで膨大なデータを基に、自然現象をシミュレーションするような作業。ウェザリングによって目の前の壁に現れる状態を、直感的に解析し、“正しい”方向に導こうとする作業が、手と目を結ぶ脳の中で繰り返されていきます。
そしてもう一つ。
作業の大半が、汚れを落とす、あるいは削いでいくことに費やされている、というのも意外な点でした。
しかしこれはカガリくんの目指すウェザリングを考えれば、当然のことなのかもしれません。
屋外環境においても、汚れなどは、風雨や重力、太陽光、他の物体との接触などによって、剥がされたり、流されたり、劣化したりすることで変化をしていきます。
まるでカガリくん自身がそんな外的な負荷になるかのように、ウェザリングは進められていくのです。
秋葉さんへの弟子入りからスタートした、カガリくんのウェザリング。それは師とは全く異なる道を開拓しながら、日々探求され続けています。
そうして新たな表現への進化を目指すカガリくん。しかし作業台には秋葉さんの大きな作品が常に鎮座し、まるで灯台のように進路を示し続けています。
きっとカガリくんのウェザリングはこれからも変化し、進化を続けていくでしょう。脳内のデータベースは更新され、そこから未だ見ぬパターンが解析・生成されることで、その表現が広がりつつ研ぎ澄まされていくことを、これからも楽しみにしたいと思います。
WALLシリーズをはじめ、密買東京でこれまで紹介してきたカガリユウスケの商品はこちらから。
> 発光する壁
> 壁をまとう
> 導かれた立体
> まさかの巻きもの
> リペア魂 × Dr. カガリ
> 外壁を携えて
> このバック繊細かつ獰猛につき
> 視覚交換作戦
カガリラボに潜入。何度も来てますが。都市型迷彩の制作には大量の有機溶剤を使うので、メインのアトリエとは別の、右の小部屋で作業します。既にアシスタントの小川くんがウェザリングをかけたものが用意されていました