晴れを呼ぶ服
商品番号 | tk030603 |
商品名 | CLEAR PHOTOCHROMIC BIJOU JACKET |
価格 | CLEAR PHOTOCHROMIC BIJOU JACKET: |
限定数 | 購入ページでご確認ください |
サイズ | |
素材 | BONDING OPAL TRENCH COAT: |
支払方法 | 銀行振込・クレジットカード決済(PayPal) |
送料 | 無料 |
納期 | BONDING OPAL TRENCH COAT、BONDING OPAL JEAN JUMPER、BONDING OPAL SKIRT:2019年3月頃 |
備考 | この商品は返品不可とさせていただきます。 |
バイヤー | チバ |
まるで儀式のように
ジャラリ、ジャラリ。歩を進めるごとに音を立てる服。
そこには5,000以上にものぼるという樹脂のパーツが、全体を覆うように縫い付けられています。
2018年9月にパリコレで発表された、ANREALAGE(アンリアレイジ)の2019 S/Sコレクション「CLEAR」。
打楽器の音だけが流れる広い空間を、淡々と歩く女性たち。演出的な要素が抑えられたショーには、儀式のような緊張感が漂っていました。
対極の同居
今回のコレクションを象徴する、無数のパーツが縫い付けられた服。
その手仕事を想像するだけで圧倒されますが、実はパーツの一つひとつも、特殊な技術による特性を持っています。
ショーの最初に登場した7人が着る、黒い服。よく見ると、その黒が時間とともに透けてくるのが見て取れます。
この黒は「フォトクロミック分子」という物質が、紫外線に反応することで現れた色。服は登場する直前にバックステージで紫外線を照射されていたのです。
そしてショーのラストに登場した7人が着ている服も、最初の7人と同じ服。すっかり透明に戻った姿は、まるで別の服のようです。
このフォトクロミック技術は、ANREALAGEのコレクションでこれまで2度、2013-14 A/Wの「COLOR」と、2015 S/Sの「SHADOW」で使われています。
2回とも紫外線を受けて色が変わる現象を利用しましたが、透明にするのはかなり難易度が高かったようで、今回使われた素材はANREALAGEが三井化学と共同で新たに開発しました。
その変色は、太陽光などの紫外線を含む光に反応して起こりますが、直射光だけでなく、窓のそばに近づいただけでも黒く変わるほどの反応を見せるので、昼間の屋外だけでなく室内でも透明度の変化が感じられます。
そしてもう一つ目を引いたのが、裾に向かって上から下に、徐々に生地が透けていく服。
こちらは時間による変化ではなく、特殊な加工で作られた生地で、まるで服が途中で霧散してしまうかのよう。
その形はトレンチコートやGジャン、ブルゾンなど、軍の服や作業着をルーツに持つものが選ばれていますが、下に向かって透けていくにつれ、形もドレスのように軽やかに広がります。
このように対極にある二つの要素をどちらも内包し、その間を移ろうような表現が印象的な、今回のコレクションです。
ショーの様子
別世界へ誘う装飾
無数のパーツが縫い付けられた服を着て、淡々と歩く女性たち。その様子はまるでSFのように未来的で、どこか異世界の儀式のようにも見えます。
しかし同時に、その姿にはどこかの先住民族の衣装のような、プリミティブな力強さも感じるのです。
気の遠くなるような手業を積み重ねることでしか到達できない造形。染めやプリントといった技術を使わず、ただひたすら生地に素材を一つずつ止め付けていくことで生まれる模様。
実はそれが“透明なフォトクロミック”という、難しい材料を服にするための、数少ない方法の一つでもあるのですが、一方でそれはとてもANREALAGEらしい手法、ANREALAGEにしかできない服作りでもあります。
服の上できらめく、無数の樹脂のパーツ。ミニマルでありながら装飾的でもあるその姿には、未来的な美しさを感じます。
同時に、膨大な手仕事を想像させるその異形の装飾を目の当たりにすると、この世界とは異なる文化や物語があるような気さえして、まるで別世界の衣装を見ているような、SF的な感覚に包まれます。
それがこのショーから感じた、儀式のような雰囲気を醸し出していたのです。
「遥か晴る」
そしてもう一つ、このコレクションには隠されたテーマがありました。
タイトルの「CLEAR」。そこにはいくつかの意味が込められていますが、「晴らす」というのもその一つ。
実は12年前に発表された2007 A/Wのコレクション「遥か晴る(はるかはる)」と呼応するコレクションでもあるのです。
当時、コレクションの音楽を手がけていた杉原一平さんの同名の曲を、そのままタイトルに掲げたコレクション。
自分がたどってきた道のりを振り返った時、過去にいた場所が晴れ晴れしくあってほしい、という思いがそこには込められていました。
それをまさに体現するような、今回のコレクション。
実はかつての「遥か晴る」では、ボタンを20,000個も縫い付けた服が発表されました。
「神は細部に宿る」と信じ、神に祈りを捧げるように、膨大な手仕事を込めて作られた服。
その後いくつかの転換点を経て、テクノロジーを味方につけた服作りへと到達したANREALAGE。
12年間に渡ってつむがれたストーリーを込め、手仕事とテクノロジーをどちらも惜しみなく注いで表現されたのが、今回のコレクションなのです。
さらに「クリアする」という意味も込めていると語る、デザイナーの森永邦彦さん。
新たなステージへの扉は開かれるのか。
次回への期待が高まるコレクションです。
これまでに紹介してきたコレクションは、下のリンクからご覧いただけます。ANREALAGEのホームページも含め、その圧倒的な服作りに触れてもらえたらうれしいです。
> 違い続ける服
> ボタンでできた服!?
> 扉を開く服
> 折りたたまれた未来
> 暗号化された服
> 映し出す服
> 隠された服
> 影と光
> 肌身を離れず
> サイズのない服
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> 時の断片をまとう服
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